冬場の底でのアタリは様々です。あまりすれていない釣り場や喰いがたったときには、穂先にツンと前アタリが出てぐっと押さえ込む典型的な底アタリがありますが、状況によって底で居食いをしていたりすると、ほとんど穂先や道糸にアタリがでないこともよくあります。こんな時はアワセのタイミングを見失ってバラシの原因にもなります。
風も弱く、潮もあまり動かないようなときは着底後、じっと穂先や道糸を見ていても、うっかりするとアタリを見逃すぐらいのアタリしか出ないことがあります。着底して道糸がふっと揺れるぐらいのアタリがでることがあるのですが、よっぽど神経を集中しなければわからないことが多いのです。
できるだけ糸ふけが出ないように丁寧に落とし込んでいくことが肝心ですが、底でチヌが居食いをしたり、エサをそっと吸い込んで出したりしているときは、ほとんど動きがないので道糸や穂先に明確なアタリは出ないのです。が、その気配を感じることはできます。
非常に微妙に道糸や穂先が変化するのですが、その出方もいろいろですのでこれといった表現は難しいのです。これは何百何千回とエサを落とし込んでいくことによって、まったくチヌの気配がないのか、活性が低いけれどエサに触ってくるかの違いがわかるようになります。
重要なのは底にいるチヌの状況を自分なりに想像しながら、底でのアタリを感じていくことです。エサが落ちてきてチヌがじっと見ているだけなのか、エサは口にしないがそばに近づいて来ているのか、エサをゆっくりと口にいれているのかを想像して感じるのです。道糸がふっと1~2mm動くだけのことがあります。底でどれだけチヌのアタリを待つのかは、その時のチヌの活性で違ってきます。が全く気配もないのに何分も待つのは意味がありません。一方でチヌの気配を感じて1~2分待ってアタリを作ることもできるのです。
落とし込み釣りの肝心は、丁寧さと我慢にあるといっても良いでしょう。落としたエサから伝わってくるチヌの信号を集中して感じて分析し、釣れるパターンを作っていくことに落とし込み釣りの醍醐味があるのかもしれません。
次回は 黒鯛道32 「春先から初夏の落とし込み釣り」 を予定しています。