私の周辺で、磯釣りを体験してみたいという若者や女性が増えつつあります。
磯場に立って、長い竿が大きく弧を描いて、そのやりとりの迫力や自分で玉網に掬い取るあたりが本当にかっこいいと言うことなのです。
他には、理論めいたことが多いのも人気の一つです。
どんな釣りでも極めれば極めるほど奥が深くそれぞれに方程式があり、ちゃんと理論、生態が理解できてはじめて本当の面白さが出てくるというもの。
みんなで釣りに行ってわいわいがやがやと楽しい時間を過ごすのも釣り。
此処には楽しさはあっても、深い面白さが味わえないこともあります。
雰囲気を味わうのもそうです。
自然の空気を吸い、磯の香りをかぐ釣りもあれば、肌で感じる気圧や風から状態を読み取る力を養うのも雰囲気を味わうことになります。
周りが求める「一緒に釣りに行って磯釣りを体験したい」にはちゃんとその二種類があることを伝えて体験してもらいたいと思います。
真剣にやって念願の1尾を理屈等を織り交ぜてイメージ通りに釣れたらそこで馬鹿騒ぎでもいいですが、おそらく馬鹿騒ぎにすぐに入れる人は卓越した名人か、それとなく釣れた人に多いような気がします。
イメージ通りの釣りをした人は確認作業が待っていますので騒いでいる場合ではないのです。
そういう人は釣りが終わって「あ~楽しかった」となるのだと思います。
さて、いよいよ2017年も終わります。
磯では寒グレが本番を迎え、磯師は重い撒き餌を担いで磯に向かいます。
最近のグレ狙いの餌はトーナメントの規定のせいかおしなべて撒き餌が多くなっているように思います。
餌の切れ目は魚との縁の切れ目。
絶やすことなく間断なく巻いてその効果が出る磯や、都合のいい流れがたまたまあったときのためです。
魚が居るのに1尾釣れるとつれなかったとき以上にがばがば撒く人が居ます。
そのあたりに居るグレを全部自分のものにしようという勢いです。
しかし残念ながらそういった条件がそろうのはまれで、たくさん撒いたからたくさん釣れるとは限りません。
やはり魚の補食するタナ、撒き餌の筋ができるような流れ、が大事。
撒き餌が多くなり餌が遠のくと魚との接点も遠くなり、他の人のために撒いてあげているようなこともあります。
やはり効率よくなぜ此処に餌を撒くのか。
なぜ此処に仕掛けをいれるのか、なぜこのタナに合わせたのか等考え抜いて釣りを楽しんでいただきたいと思います。
二人が並んでやる競技会で潮も動かず、餌取りがちらほら居る中ではたくさんの撒き餌が必要な場合があります。
巻き分けの術、時間差の術が使えるからです。
寒グレ本番の時期にはそれが必要でないことが多く、いわば、タナが深い、餌取りが少ない、魚が大きい、単独のシチュエーションが多いなどが考えられるため、競技会とはまた違った釣り方になりじっくりと狙うにはちょうどいいときです。
またかかったときの強烈でシャープな泳ぎは他の釣りともまた違って面白いものがあります。
何度もバラして悔しい思いをしてやりとりを覚えて釣り上げた大物は本当にうれしいものです。
また次号では引き続き寒グレに関して書いてみます。