竹を素材とする和竿は、楽しみのための落とし込み釣りの道具として、他の素材には無い良さを持っています。機能性だけではなく、芸術的な漆塗りも含めたその趣きや温かさは、釣り人の心をより豊かにしてくれるはずです。
ここでは、主にヘチ釣りで使用されることが多い、和竿についてお話しましょう。
元々、関東を発祥の地とするヘチ釣りの竿は、江戸時代から受け継がれてきた、竹竿の文化から生まれました。
主に、道糸の変化でアタリをとるヘチ釣りは、あらゆる釣りの中でも、最もシンプルな仕掛けを使う釣法です。その道具としての和竿は、関東のそれぞれの地域で、独自に発展していきました。特徴的なのは、地域によって、竿の調子が違うことです。1:9、2:8、3:7、4:6、5:5と、先調子から胴調子まで様々です。アタリのとり方、エサ、道糸によって、竿の選択が変わるのです。
私が使っている和竿・天明は、基本的にタナ釣り、主に道糸の変化でアタリをとる時に使用することが多いです。天明竿は、典型的な胴調子で、一旦、黒鯛が掛かると、その調子によって、素材である竹の良さを、最大限に発揮することができる竿です。自然に黒鯛が浮いてくる、といわれる気持ちの良い引き、取り込み、を楽しむことができます。