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2013年1月10日

誘うべきか誘わざるべきか…アマダイ

アマダイのシーズンですね。アマダイに甘鯛の字を当てるのは、ほのかに身が甘いからという説もありますが、尼鯛の字を当てることもあって、こちらはアマダイの顔がほおかぶりした海女さんの横顔に似ているからなんだそうです。
 
関西では、若狭グジ(京都ではアマダイをグジと呼びます)がことのほか珍重されますね。これは、かつて若狭湾で取れたアマダイにひと塩して京の都へと運ばれたころにいい塩梅になって美味しかったからですね。西京味噌に漬けたアマダイの西京焼きも、上品な味でいかにも京都らしい料理法ですね。

さて、アマダイ釣りといえばかつてはこんなことが言われていましたね。
 
アマダイは臆病な魚だから、オモリでトントンと底を叩きながら釣ると、怖がって巣穴に逃げ込んでしまうと…。これって本当でしょうか。
 
アマダイが巣穴を作るのは有名です。普段は巣穴に引っ込んでいるから、その巣穴の中にエサを入れ込んでやらないと釣れない、そう考えられていたので、京都府の丹後半島沿岸の漁師は、丸玉オモリに短いハリスをつけてハリを結び、そこにエサを刺して、丸玉オモリを海底でゴロゴロ転がしながら巣穴に落とし込んで釣っていたそうです。
 
これだと確かに怖がって巣穴に逃げ込んだアマダイが釣れたかも知れません。
 
しかし、最近はアマダイの釣り方が変わってきました。オモリで海底を小突きながら釣った方がよく釣れる、というのが定説です。オモリで海底を小突くという動作は、二つの効果をもたらします。
 
ひとつは、仕掛けを上下させることによってサシエが動き誘いになること。もうひとつは、オモリで海底を小突くと砂煙が上がり、これがアマダイの興味を引いてエサに注目させる効果が生まれることです。
 
アマダイは海底に棲む小型の甲殻類(エビやカニなど)を主食していますが、ゴカイなどの虫エサも好物です。砂煙を立てるとエビやゴカイなどが出てこないかと、アマダイが注目するのでしょうね。だから小突くと効果があるのです。
 
アマダイ釣りでは、誘わないよりは誘った方がよく釣れる、これが今や常識になっているのです。
 
ときおり底を小突きながら狙うタナを一定にしなければなりません。2本バリで釣るときは、下のハリが海底を引きずるぐらい、上バリは底から浮いていても差し支えないので、常に下バリの位置を意識しながら釣った方がいいでしょう。
 
下バリを底近くにキープするには、潮の速さによってタナを決めなければなりません。潮が速いときはタナを低めにとって、ハリスを這わせるぐらいの感覚で釣ってください。潮が緩いときは、少し高めにタナを取って下バリが底を引きずるぐらいの感覚で釣るといいでしょう。
 
底を小突いたときや誘い上げたとき、どちらの動作でも一瞬動きを止めて間を取ることが大切です。この間がアマダイにエサを食う間を与えるのです。