イカ類の中で、美味しさのランクで五指に入るといわれているのがアオリイカです。寸胴形の体型でヒレが大きいために、コウイカ類(胴の中に舟型の甲を持つイカ類)とよく間違えられますが、実はスルメイカやケンサキイカと同じツツイカ類なのです。
春に産卵、ふ化したアオリイカは、驚くほどの大食漢で見る間に成長し、夏を越して秋のシーズンを迎えると、一段と身が肉厚になって食べてもおいしい季節を迎えます。
アオリイカは、北海道の南部以南に広く分布するイカで、各地で面白い呼び名がありますね。
九州では、ミズイカと呼びますが、これは体が透明で水のように透けて見えることから生まれた呼び名のようです。モイカと呼ぶのは、海藻の多い場所を好むからでしょう。バショウイカは、体の形が芭蕉の葉に似ているからです。
では、アオリイカの呼び名はどこから来ているのでしょうか。大きなヒレを煽るように優雅に動かしているから、煽烏賊だという説もありますが、本当はアオリイカのヒレが馬具の泥よけである障泥(あおり)の形に似ているところから生まれたといわれています。
胴体が卵形をしているため、英名はオーバル・スクイッド、または、ビッグフィン・リーフ・スクイッドと呼ばれます。後者を直訳してみると、大きなヒレを持つ、サンゴ礁に多い、イカということになるでしょう。