ケイムラとは、いったいどんなものなんでしょうか。今回はこの言葉を少し勉強してみたいと思います。
関西人は、言葉を略す、縮めるのが好きだとよくいわれますが、ケイムラも関西から発進された言葉なんでしょうか…。
ケイムラのケイは蛍光のこと、ムラは紫の意味だったんですね。ですからケイムラを略さずにいうと蛍光紫(けいこうむらさき)という言葉になります。
このケイムラが話題になったのは、なぜなんでしょうか?。ひと言でいえば、ケイムラ加工したルアーやサビキ仕掛けを使うと普通のものよりもよく釣れるからです。
では、蛍光とか蛍光色と呼ばれるものが他の色より明るく目立つのはなぜでしょう。
蛍光物質に光を当てると、その蛍光物質は非常に高いエネルギー状態へと励起(れいき)されてしまいます。ところが高いエネルギー状態というのは、そのままではとても不安定なので、すぐに最初の安定した状態へと戻ろうとします。このときに放出されるエネルギーが蛍光と呼ばれる特殊な光なのです。
人が物を見るという行為を簡単にいうと、われわれは光のないところでは、何も見ることが出来ない。ある光源から放出された光が物体に当たって反射され、その反射された光が人間の目にある視細胞を刺激することによって、初めて物の形や色を認識することが出来るのです。
蛍光色が特に目立って見えるのは、人間が普通に色として認識することが出来る可視光(反射光)に加えて、自ら特殊な光を発することができる自発光、つまり蛍光が加わることによって、普通の色よりも目立って見えるのです。
ときどき蛍光は夜でもよく光りますね。といわれることがありますが、これは間違いです。蛍光は瞬時にエネルギーを放出してしまうため、溜めることが出来ないのです。溜め込んで、しばらくしてから放出できるものは蓄光とか夜光と呼ばれるものなのです。
それではケイムラの話に戻りましょう。
海の中では、水深が深くなればなるほど太陽光が届きにくくなり、ほとんどの色が吸収されてしまいますね。その中でも最も早く吸収されてしまうのは赤だといわれています。
このような色の中でもケイムラは、最も紫外線に近い可視光色だといわれています。そして、太陽光の中で最も深い場所まで届きやすいといわれているのが紫外線なのです。
ケイムラは、深い場所まで届きやすいといわれる紫外線に当たると青白く発光します。ほかの光が届かない場所でも紫外線が届いていれば、ケイムラは発光するのですね。
こんな理由からケイムラがいいという評価が生まれたのではないでしょうか。
このケイムラに最も近い色が昔からありました。沖釣りでアジやサバ釣りの擬餌針によく使われているハゲ皮がそうです。このハゲ皮は、ウスバハギの皮です。乾燥すると白く濁って硬くなりますが、水につけると途端に軟らかくなって、淡い紫色に変身します。
先人たちは、このことをよく知っていて、擬餌針に使ったのでしょうね。
ケイムラは、いうなれば温故知新、古くからあった物が今になって脚光を浴びるようになったということです。
次回は、決して本名で呼ばれることがないイズカサゴのお話です。