魚の長さを表わすのは、全長のほかに標準体長というものがあります。この測定法は、魚類学で標本を測定したりするときに、よく使われますが、吻と呼ばれる上アゴの先端から下尾骨の先端までの長さのことです。
下尾骨の後端は外からは見えないので、尾ビレを折り曲げたときに出来るシワの中央で測ります。なぜ、こんなややこしい測定法が必要かというと、液に浸した標本などで、尾ビレの軟条が破損しても骨格は残るので、安定して測定が出来るからです。
もうひとつ尾叉長(びさちょう)という測定法があります。これは体の先端から尾ビレ湾入部(切れ込んだ部分)の内縁中央部までの長さを表わします。これも尾ビレがすり切れたりしても、湾入部の内縁で測定すれば、安定した数値が得られるからです。
さて、関西で開かれる釣り大会では、計測板を用いて魚の全長を測り競うことが多いのですが、関東や九州では、魚の長さではなく重さで競うことが当り前になっていますね。
どうしてこのような違いが生まれたのでしょうか?。関西方式の魚の全長で優劣を決める場合、魚の個体差が出てしまうのです。たとえば、ブリという魚がいますね。そのブリの中でも太短いのもいれば、スマートで細長い魚もいます。どちらも長さは1mなのに、太短いのは重さが10kg、細長いのは8kgしかありません。
この魚を見比べてみると、明らかに太短くて重さが10kgある魚の方が立派に見えます。それでも長さで競うと同列なので、なぜか不公平に写りますよね。
こういう弊害をなくすために関東や九州では魚の重さで競うようになったのです。重さを基準にすれば、長さは関係なくなりますから、公平に魚の評価が出来るわけです。
最近では、重量による公平な測定法が見直されて、関西で開かれる競技会などでも、釣った魚の総重量とか、3匹の合計重量といった方式で開かれるようになりました。
次回は、シロギスのエサに付いて考えてみましょう。