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2012年1月12日

将を射んと発すれば、まずハリを見よ

サヨリは、早春を彩る艶やかな魚で、楚々としたイメージ通りに上品な甘味と旨さを秘めたスマートな魚です。

ただ半透明の体ゆえに内臓を守るため腹腔の内側がまるでコールタールを塗ったように真っ黒なのです。
 
こんなところから腹黒いというイメージが生まれたのでしょうか?
 
「あなたは、サヨリのような人だ」といわれたときには気をつけて下さい。
 
その人は、あなたは腹黒い人だといっているのですから…。

サヨリは、下あごが長く突きだしており、かなりの受け口をしています。それには理由があるのですね。

サヨリの主食は、動物性のプランクトンなので、口を半開きにして水面近くを泳ぎ、海水といっしょにプランクトンを吸い込んで、鰓で濾し取るようにして食べているのです。このため下あごが長い方がプランクトンが食べやすいわけです。
 
あの巨大なジンベエザメも海水といっしょにプランクトンやアミ類を吸い込んで、鰓で濾し取るようにして食べているので、エサの補食方法はサヨリと変わらないわけです。
 
そんなエサの食べ方をしている魚なので、釣り人がサシエに使っているサシアミやゴカイなどを食べるのが実にヘタなのです。
 
アタリがあるのにハリに掛からない、というのは、もちろんアワセのタイミングもありますが、サヨリが上手にエサを食べることが出来ないという要因も大きいのです。
 
かてて加えて、サヨリの嘴(くちばし)の周りは意外に硬く、ハリが掛かりにくいというのも、バラシの原因になっています。
 
そこで、少しでもバラシを少なくするための方策はなにか?。
 
これは、一にも二にもこまめにハリ先を点検し、鈍っていれば交換することです。

ハリ先を点検するとき、ハリ先を爪に立てて刺さるか滑るかで判断せよといいますが、サヨリの場合は、この程度ではダメです。

ハリ先の鈍り具合は爪に立てたぐらいでは分かりません。爪には立つけど、爪よりも硬いサヨリの嘴には刺さらないからです。
 
ハリ先が鈍れば、砥石で研ぐ方法もあります。

が、あの小さなハリのハリ先を砥石で研ぐのは至難の業ですから、上手なサヨリストは、4、5匹サヨリを釣ったら、すぐにハリを交換しています。それぐらいしてちょうどいいのです。
 
もうひとつバラシの原因として考えられるのが、食いの浅さです。

ハリを呑むぐらいに食ってくれればハリは刺さりやすいのですが食い渋って、わずかにエサをくわえているような状態だとなかなかハリ掛かりしませんよね。

魚が食い渋る要因は、たくさんありますが、釣り人が作る原因のひとつがコマセの撒きすぎです。
 
アミコマセを使うとき、魚を寄せるまではしっかり撒き、魚が寄ってきたらコマセを海水で薄めてしゃぶしゃぶにし、コマセに含まれているアミエビの量を極端に少なくしてやると、食いが持続し、なおかつ食い渋りも防げるのです。
 
コマセは、ただ撒けばいいという代物ではありません。魚の気持ちになって撒いてやることが大切なのです。
 
次回は、アオリイカの嗜好について考えてみましょう。