初めての方へ

HOME

釣り船予約

最新攻略コラム

2012年8月19日

恐~い魚のパラサイト

適齢期を過ぎても結婚せず、まるで寄生虫のように親元で暮らす人たちをパラサイトシングルといいますが、今回は、それがテーマではありません。 魚に寄生する恐い虫、パラサイトのお話なんです。
 
ブリといえば、「寒ブリ」の呼び名があるように秋が深まるころから身に脂が乗りだし真冬にかけておいしくなる魚ですが、釣り場によっては夏場でも釣れる魚です。
 
先日も四国は徳島県の伊島の周りでノマセ釣りをしていたときに、10㎏近い大型がヒットしました。鮮魚をメーンにしたレストランも経営する船長の話では、夏場のブリでも腹身には脂があるので、結構、美味しくいただけると聞いて持って帰りました。
 
ところが魚をさばいてみると、身からミミズのような赤くて細長い寄生虫がぞろぞろ…。これで食べようという気分が吹っ飛んでしまいました。

寒い季節には余り見かけませんが水温の高い夏場に、ブリに好んで寄生するのがブリ糸状虫と呼ばれる寄生虫です。この寄生虫は内臓ではなく身に寄生しており、特に血合いの周りの多いのが特徴です。ミミズのように細く、ブリの血を吸っているのか赤い色をしています。
 
この寄生虫は、人に害を与えることはなく養殖物にはつきません。だからこの虫が寄生していれば、天然物の証と言えるわけです。今はどうか知りませんが、その昔は市場から料亭などにブリを卸すとき、鮮度のよい天然物の証として、わざわざブリ糸状虫を添えて配達したといわれています。
 
ブリ糸状虫は、見かけが悪いだけで食べても人体に影響はないのですが、人にも寄生し悪さをするパラサイトがいます。
 
その魚とは、これから美味しくなるサバやサンマですね。特にサンマには2種の寄生虫がいることがあるので要注意です。
 
サンマの内臓に好んで寄生するのがラジノリンクスと呼ばれる寄生虫です。
 
ブリ糸状虫によく似た赤いミミズのような形をした寄生虫ですが、サンマの内臓を食べるときは、焼いて調理したものなので、このときにたいてい死んでしまいます。また、たとえ生きていても、人に悪さはしないので安心してください。
 
恐いのは長さ2~5cmぐらい、半透明で白色の渦巻き状をしたアニサキスです。この寄生虫は、サンマやサバの身の中にはあまりいませんが、内臓や皮と身の間に潜り込んだりします。だからサンマやサバを刺身で食べたりするときは気をつけてくださいね。
 
アニサキスを生きたまま食べたとき、たいていはそのまま排泄されることが多いのですが、まれに胃や腸に留まって悪さをする奴がいるそうです。強烈な酸を含む胃液にも耐え、胃壁や腸壁を食い破って激痛を引き起こすことがあるそうです。
 
火を通すと死んでしまいますが、酸などには強く、しめ鯖を作るときの酢の中でも平気で生きているそうです。マイナス20度の冷凍庫の中で24時間以上冷凍すると死ぬそうですが、家庭用の冷凍庫では無理ですね。
 
このほかにもアンコウの肝やタラ、ホッケなどに好んで寄生するシュードテラノーバと呼ばれる寄生虫は、アニサキスと同様の症状が出るので、ご用心を。
 
次回は、マダコの縄張りのお話。