たとえば沖釣りでマアジを狙っているとき、こんな経験をしたことはありませんか?。狙ったタナまで仕掛けを落として、コマセを振ってゆっくり誘い上げながらアジを食わせようとしたとき、仕掛けを誘い上げているときは全然反応がないのに、誘いきって仕掛けを落とそうとしたときにアタリが出たとか、空バリの仕掛けで必死になってアジを食わそうとしているとき、いくら誘い上げても食わなかったアジが、上から仕掛けを落とし込んでやると、一発で飛びついてきたという経験はなかったですか…。
これは、マアジの視軸が上向きになっており、上から落ちてくるエサに反応しやすいためです。同じように底棲魚であるカレイやヒラメ、マゴチなども常に海底にいるために、視軸が上向きになっているのです。
また、カレイのように底にいる魚ではないのに視軸が上向きの魚がいます。その代表的な魚がスズキです。エサ釣りでは余り感じないかも知れませんが、ルアーで狙ってみるとよく分かりますね。
ルアーは、底を引くよりも中層、中層を引くよりも表層と、浅いタナでヒットすることが多いですね。これはスズキの視軸が上向きで常に上しか見ていないからです。ですから視軸の下をかい潜ったルアーには反応しにくいのです。
では、人気のあるマダイやクロダイの視軸は、どちら向きでしょうか?。
どちらの魚もエビやカニなどの甲殻類のエサを好むためか、視軸は下向きになっています。その方がエサを探すときに好都合なんでしょうね。
ですからコマセで魚のタナを上げない限り、サシエがマダイやクロダイのいるタナよりうんと上方を漂っている場合は、なかなかサシエには気付いてくれず、アタリもないという状態が続くことになります。
魚の視軸で最も厳しいのがイサキではないでしょうか。イサキはタナを釣れ、という名言があります。これはタナが合っていなければ釣れない魚だという意味です。