このような構造のスリットを攻略するには、基本的にスリット構造の柱前、柱と柱の間、柱の裏、奥壁にむかってエサを投げいれてチヌを狙うことになります。
関西なら地波止スリットや尼崎フェニックス、岸和田の沖一文字のスリットなどがその構造になっています。多くの場合、南側に面していて夏の盛期の夕方などは南西の風がでてスリット面がざわつき、チヌの喰いが一気に高まることも多いようです。
スリットといえども、反対からの風が吹き、潮が澄んで凪いでいるときはチヌの喰いも期待できません。これはテトラの前打ち釣りでもおなじことが言えます。ひどいときには青潮になりチヌはもちろん、他の魚もいなくなりまったくアタリがでないこともあります。
スリットを攻略するときのタックルは、状況に柔軟に対応できるヘチ釣りが基本となることが多いと思います。障害物周りに強く、タナも幅広く狙うことができるからです。
季節によってはタックルのバランスを重視しないと多くのバラシを招くことになりかねません。夏から秋にかけてのチヌは体力も回復して、パワーも増加し、動きも良くなります。タックルのバランスは、竿の調子、道糸、ハリスで決まります。
先調子で腰の強いヘチ竿で道糸にPEラインを使用すると、チヌが掛かったときのテンションが高くなり、アワセ切れを誘発する原因となります。特に大型のチヌが掛かったときにそのリスクが高まります。
私の経験ですが腰の強いカーボン竿にPE2号を使用したとき、大型のチヌがガツンと喰いつき、ハリス3~4号が一瞬でアワセ切れしたことがありました。
通常、スリットでも2.5号のハリスで対応できることが多いのですが、季節や状況にもよりますが、タックルバランスによっては、大物を釣り上げるチャンスをふいにすることになるのです。
こんなときは、竿を胴調子の粘りのあるものに変えるか、道糸をナイロンの3~4号に変えるといいと思います。
このケースは、盛期のスリットの穴近辺を狙ったときに多く見られます。チヌも警戒しながら一瞬でエサを喰うのです。