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2016年11月4日

釣具の補修5「バッカン」

磯釣りフカセ釣りのアイテムにバッカンがあります。
 
バッカンの目的は撒き餌を入れて運ぶものですが、多目的にタックルを入れたり予備のエサを入れたりとバッグとしての役目もあります。
 
昨今の活かしバッカンはシステム的になっています。
 
中に撒き餌バッカン、水汲みバッカン、刺しエサバッカン、杓立てなどが収納できるようなサイズで構成されており、中には竿受けホルダー、空気ポンプの導入穴、検量に便利なメッシュバッグも一度に搭載されています。
 
水を入れることによって大きなカウンターウェイトになるので竿も立てられますし、竿ケース等を固定して波や風から守ることもできます。
 
その役面はかなり広範囲に及びます。
 
第一に重要なことは水が入って漏れないことであります。
 
釣った魚を生かしておいて、検量に持ち込む際に規定外であるとか、魚の入れ替えに使うとか用途は様々です。
 
昔はクーラーを持って磯に上がっていました。
 
重くかさばるクーラーで氷を入れて磯に上がったものです。
 
しばらくしてクールバッグの時代が来ました。
 
エサも、道具も、氷も、入れられて、ある程度の保冷力のあるものでした。
 
しかし釣った魚を酸欠で死なすと血が抜けていませんので魚をおいしくいただけませんし、魚を釣るたびに締めて血抜きしていたんではせっかくの時合いも逃してしまいます。
 
ここはポンプの出現によってそのあたりが解消しました。
 
持ち帰りたい魚だけを生かしておく。
 
あとは海にリリースする。
 
このことでバッカンお使われ方が大きく変わりました。
 
 
話が少しそれましたが、バッカンは水漏れがあっては絶対にいけないのです。
 
しかし重いものを入れたり、起伏の激しい磯の上に置いたりするため、かなり過酷な使われかたをします。
 
製造時方にはめられて熱で融着して成形されたものが多く、接合箇所が最初に傷んできます。
 
他はファスナーで在ったり、取っ手の部分となります。
 
ファスナーはメンテ不足から固着、引張によるレールの破損等があります。
 
これらのメンテナンスは、固着の場合、お湯で塩分を溶かして潤滑剤を塗るという作業が一般的です。
 
最近のファスナーは樹脂製なので75度以上の熱湯は使わないでください。
 
力を入れ過ぎて変形したファスナーもあります。
 
レール部分の破損はその部分を縫合するしかありません。
 
結局そこまでしか開かないことにはなりますが、あきらめるしかない場合がほとんどです。
 
接合部の水漏れは、外れた箇所をきれいしにして完全に乾燥させます。
 
次に有機溶剤を使って表面を荒らします。
 
必ず乾燥させます。
 
ホームセンターで接着剤など仕入れていただかなくてはいけませんが、2液性ウレタン接着剤を外れた場所に塗り400g/㎠位の力でプレスしておきます。
 
24時間は解圧しないでおきます。
 
次に内側からウレタン系ホットメルト(1液)という接着剤を隅に塗ります。
 
もしくはウレタン系のコーキング材(1液)を塗布して防水効果をあげます。
 
外側の合せ目のところをペンチの先を熱して、挟むべきところをドライヤーで熱してEVAの素材を溶かしながらしっかり挟みます。
 
上下の食らいつきが生じるくらいやってください。
 
失敗のできない作業ですから処分してもいいもので試験をしてからの方がよろしいかと思います。
 
外観上もガムテープなどで補修するより十分きれいです。
 
テープでは水漏れは絶対防ぐことができません。
 
買った方が早いかもしれませんが捨てるのが惜しいものもあるはずです。
 
試してみてください。
 
 
余談ですが、ネームステッカー等バッカンに貼ってもなかなかくっつかないものがあります。
 
ステッカーに使われている粘着剤の強度にもよりますが、バッカンの表面が汚れを付きにくくするためにエンボスになっていることがあります。
 
接着面の面積が小さくなるので付きにくいわけです。
 
この場合もバッカンの表面を熱で多少平らにするかステッカーの接着面にさらに接着層を増やしてやると着くようになります。