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2016年10月20日

釣具の補修4「撒き餌杓の補修」

撒き餌杓は競技志向から長尺遠投用のものが主流になっています。
 
しなりを生かして遠くまで飛ばすのですが、30~40Mも遠投できる方がいます。
 
かご釣りの必要がなくなったと言えるくらいの遠投力です。
 
昔の撒き餌杓というのはエサのオキアミを救うのが目的。
 
せいぜい足元に撒くという程度のもので、柄杓のようにアルミでできたもの、塩化ビニールでできたもの等がありました。
 
遠投も効かず、カップの厚みも分厚いので最近の主流の集魚剤を基本ベースにした撒き餌などは掬うことはできません。
 
昨今の撒き餌杓はまずは遠投性、エサ離れ性、カップの薄さ等求められています。
 
そして強度です。
 
遠投するには腕の先に重みを溜めて、撒き餌杓のカップにしっかり力が伝わるような腕の加速度と高反発のバット、そして腕のひじから先のスナップが必要です。
 
1回の釣りで何回(1000~2000回)も救っては飛ばす作業を繰り返すわけで、釣り人の腕にはそれなりの負担がかかってきます。
 
釣り人には野球選手のピッチャーようにネズミ肘になったり腱症炎になったりする人も多いのです。
 
それだけ過酷な作業なだけに道具もかなり酷使されていることになります。
 
釣具の耐久試験をしているようなものです。
 
そこで一番よく破損するのがバットの折れになります。
 
次にカップの変形も挙げられます。
 
金属カップは強くて薄くて軽くなりました。
 
強く練り込んだ撒き餌の硬さは半端ではなくカップでひっかくようにとるとそぎ落とせる感じで掬えますが、真直ぐ差込むとカップが変形したり折れたりします。
 
何れもこういった事故が生じてしまえば修復不可能になって大抵は処分してしまうことになります。
 
購入当初のバランスは得られないかもしれませんが、修復して使用することも可能です。
 
折れたバットに関しては現在の撒き餌杓のほとんどがカーボンで出来ています。
 
折れた箇所を鑢を使ってきれいに端面をカットします。
 
のこぎりでは相手が炭素繊維なので切ることはできてもきれいには仕上がりません。
 
切断した端面の内面にも鑢を入れます。
 
これは次の作業に有効になります。
 
不要となった磯竿の3番などから内径に丁度いい部分をノギス等で直径を図り10センチほどの芯材を作ります。
 
もしそのようなものが無かったら、ホームセンターで竹材を仕入れてください。
 
これはきれいに削る必要がある為結構時間を要します。
 
先程のカーボン芯材の端面の角も面取りをして一度きれいに入るか確認して、2液性のエポキシ接着剤を準備します。
 
塗布して挿入後余分な接着剤はウェットティッシュなどでふき取ります。
 
乾いたティッシュでは逆に残ってしまいます。
 
完全に乾いたら表面を200番くらいのペーパーでならします。
 
市販のクリアスプレーをかけて乾いたら完成です。
 
カップの破損は差し込み部分ではどうしようもありません。
 
しかし金属カップの変形はバーナーで熱して丸い頭の金属(鍋子ネジの頭)などを使って熱したカップをかぶせてハンマーでならします。
 
バットの部分の接着剤に熱が伝わり先にバットが取れると思います。
 
これは後で接着剤でつけたらよいので気にしなくとも構いません。
 
ペンチなどを使ってやけどしないように丹念に叩きます。
 
真っ黒になります。
 
これはほとんど金属たわしで落とすことができます。
 
樹脂カップは釣具店で購入したものをつけるが早いですが、古くなったものと交換したりするとしたら、先程のように挿入部分を熱したら意外と簡単に外すことができます。
 
接着前は必ずペーパーを掛けて目あらしをして接着剤の食い附きを良くします。
 
又やや細くなるので入れやすく、しっかりした接着層が存在することになります。
 
握り手の部分はバルサ材や桐材で好みの握り手に削って中心にドリルでバットの外径に合う穴をあけ接着します。
 
握り手と同じぐらいの長さの挿入長さが必要です。
 
この作業は補修でなくオリジナル撒き餌杓つくりのジャンルになりますが。
 
愛着のある撒き餌杓は手放せないと思います。そういったとき頑張ってやってみましょう。