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2016年10月6日

釣具の補修3「竿の補修」

釣具の中で本も気を遣うのが竿ですね。
 
磯釣りは竿の置場にも困りますので竿掛けや竿が一時的にホールドできる、竿立て付生かしバッカンなどが必要になります。
 
竿の使用は、炎天下であったり、竿先が水中に濡れては渇きの繰り返しでかなり過酷です。
 
この状況を克服してずっと光沢のあるきれいな竿をつかって行きたいものです。
 
次の釣行の際ピカピカの竿で釣り場にいくのは気持ちも新たになって気持ちのいいものです。
 
今回は竿の手入れ、修復について書いてみます。
 
竿は新品のうちに撥水コートをお勧めします。
 
フッ素系の無溶剤タイプのコート剤で釣具店にも販売しています。
 
フッ素系と申し上げたのは同じように水をはじく性質のものに油脂系のものもあります。
金属等に施すわけではありませんので、ご注意ください。
 
竿の表面はエポキシ樹脂で炭素繊維を固めて、スタンプ印刷をしてクリアコートを致します。
 
このクリア部分のエポキシ部分も溶剤には完全にもろく、水に至っても分解等が始まります。
 
専門用語で「加水分解」といい、表面が曇ってきたり、火ぶくれ、水膨れがおきたりします。
 
ロッドの保管場所も高温多湿では外観だけでなく、竿の調子すら変わってきます。
 
加水分解というのは長時間も水に触れていることで膨潤しやすくなる現象で、竿の表面のコーティングがもろくなっていきます。
 
釣りに行って竿を洗うときどのようなことに注意して手入れをするかというと、結構な割合で竿をウェットティッシュでふき取るという方が多いです。
 
アルコール入りのものはやはり表面を傷めますし、竿の塩分を取るのにアルコールは必要ありません。
 
もともと除菌が目的のものですから竿には使用しないで下さい。
 
ウェットティシュでウェットな状態に一時的に見えるのは、汚れが竿の中で移行しただけでふき取れていないことがあります。
 
特にガイド周りはふき取りにくいので、結局塩分が災いしてSICガイドが取れてしまったりします。
 
この部分の接着剤はシアン系なのでやはり加水分解で獲れてしまいます。
 
ぬるめのお湯で洗い流すのが最も効果的です。
 
熱いお湯はコーティング樹脂は65℃から70℃くらいから軟化を始めます。
 
すなわちコーティングが弱くなります。
 
ですから塩分の溶解力を一番持っているのがぬるま湯です。
 
十分な量のぬるま湯を通し竿の表面についた汚れを洗い流します。
 
時々海に行って油汚れのようなねっとりしたものを竿についているのを見ます。
 
魚の脂や釣り餌の脂です。
 
しつこい汚れにはイカの墨やイソメ、マムシ等のものもあります。
 
油の分解に一番有効なのは中性洗剤です。
 
原液ではなく活性化された泡の状態のものを掛けるのが一番効果あります。
 
わざわざ界面活性をさせているわけですから付着した汚れは一番取れやすくなります。
 
洗い流して汚れも塩分も取れた後は直射日光の当たらない風通しのいい場所で十分乾かします。
 
しずくが残ったままでの収納は絶対行わないでください。
 
また日光は乾きが早いですが、UV(紫外線)にあたると樹脂は劣化を起こします。
 
樹脂同士の結合の手が切れてしまってぱさぱさになります。
 
ドライヤーで乾かすのもNGです。
 
ドライヤーの温度は大変高いので乾かすとしたら十分離れたところから弱い温風を送るくらいです。
 
それならまだ大量の風が送れる扇風機のほうが絶対乾くのも早いし品物も傷みません。
 
完全に乾いて傷ついた面を補修するのはやはりエポキシかウレタンのクリアしかありません。
 
しかも刷毛やへらでは均一に塗布できませんので、スプレーに頼るしかありません。
 
大きな傷は400#のペーパーで磨いてからコーティングします。
 
市販のスプレー材で合成樹脂系とあるものでたまにキツイ溶剤が入っているものがあります。
 
これは下地まで溶かすのでかえって白く変色してしまいます。
 
希釈溶剤などの記述のものは溶解力の強いものは入っていないケースが多いので購入の際お気を付け下さい。
 
竿の場合は補修というより日頃のメンテナンスが大事です。
 
フッ素系のコート剤をあらかじめ塗布しておき、大切につかっていただきたいものです。