皆さまこんにちは。山口雅三です。先日チヌ釣りに行きましたら、6月だと言うのにまだ産卵中のチヌが釣れました。なんとなく遅れ気味のような感じがしますね。
さて今回も竿に関していくつかの面白いことを書かせていただきます。今回は『ガイド』についてです。
今から20年前の釣りざおは金属の輪がついたガイドが主流でした。
中にはプラスチック樹脂で輪にしただけの安価な竿もありましたがこれはあまりにももろくすぐにダメになるので比較はしませんが、金属のガイドが現代までにどう進化したか、何がどう違うかに関して改めて見直すことにしましょう。
20年前のガイドが金属であるところに進化したのがクロームメッキです。バフで仕上げるので表面が硬くて滑らかです。
ただ金属の素材で行くと表面が荒くて道糸がすぐに削れたりします。また摩擦抵抗が高いからすぐに熱くなってナイロンの繊維を溶かして行きます。
ナイロンの耐熱は60度くらいで軟化を始めますのであんまり高い耐熱ではありません。摩擦抵抗の高い金属ですと、熱伝導率も高く発熱しやすくて蓄熱もします。ナイロンを破壊する60度くらいならテンションをかけたまま急激に引っ張るとすぐにその温度になります。
この後出てきたのがゴールドサーメットガイドです。金色のメッキなので非常に高級感があります。これもメッキの種類ですが更に表面が硬くなって滑らかになりました。
しかしコストも高く高級竿にしか釣りあわない現実がありました。それと熱影響の点に関して言えば何も変わりませんでした。
それに代わってSIC(炭化ケイ素)なる軽くて硬くて摩擦抵抗の非常に小さいベアリングのような素材が誕生しました。
今の主流はSICガイドです。
材質の特徴は今までの製品のウェークポイントの逆を語るに丁度いい特徴なのです。
炭化ケイ素は炭素とケイ素の1:1化合物で分子記号を語るなら正四面体の連続です。非常に硬いことがわかります。天然モノはありません。人工的に作られて入手も簡単です。
炭素によって摩擦抵抗が極めて低く、熱にも断然強いセラミックのような性質があります。分子レベルなのでほとんどダイヤモンドと変わらない性格を持っています。また電気抵抗地を持っており半導体としての性格もあるからシリコンと似ています。
ダイヤモンドの「C」とシリコン(ケイ素、SI)を足すと『SIC』になるわけです。
ついぞ竿ののガイドにとってはこの上ない上等の一品ですし、今やこれが主流でもあります。きっとこの後もこれに勝るものって、そうは出てこない気がします。
ガイドの中を通る糸は極めて華奢です。釣り人によって過酷な現場で酷使されています。
道糸が操作性重視でどんどん細くなっている中でその糸の性格を完全に引き出してくれる役目がSICガイドだと思われます。
昔のフィッシングショーでガイドに同じサイズの糸を通して同じ荷重の錘を付け同じ速度同じ回数道糸をこすりつけます。このときのガイドの比較が金属ガイドとSICでした。やっていたのは確か富士工業だったと思います。
今や日本の竿のガイドのほとんどがこの会社の製品と思われます。大物をかけてクレン巻きができるのもこのガイドのおかげです。
さて次回はいよいよ餌に関して踏み込んでみたいと思います。
<つづく>