チヌの居つき場であるスリットは、テトラと同じく一年中チヌを狙うことが可能です。全国の堤防には、それぞれ特徴のあるスリット堤防が存在していますが、その各形状は地方色が豊かで、その攻略法も多岐にわたります。
スリットを攻める上でまず理解しなくてはいけないのは、その形状です。次に潮の満ち引きや流れを考えて、チヌがスリットの何処に付いているかをピンポイントで考えるようにすると、エサを何処に落としていけばいいか、判断できます。
上下2段積みのスリットの場合、チヌの動きを流れで理解するようになれば、今チヌが何処にいるか想像することが出来るのです。
後はそれにしたがってエサを落としていき、チヌの居場所を確認しながら釣るようにします。
スリットは流れが複雑なので、はじめのうちは戸惑いますが、慣れてくると波のリズムを読めるようになります。必ず落とせるタイミングや場所がありますので、それを自分で見つけましょう。丁寧に落としていくことによって、チヌからの魚信を得ることが出来るでしょう。
スリットの狙いどころは場所によっても異なりますが、どこに食い気のあるチヌがいるかを、その時の状況で判断しなくてはなりません。
潮の濁り、風、干満、時間、天候、季節などにもよりますが、盛期の北港スリットを例にとると釣り方はいくつかのパターンに分かれます。
まず一番に攻めるのは柱周りです。外側の柱前、柱と柱の間、柱の内側、柱の角などです。次にサイドと奥の壁。後はマスの底にあるチヌの出入り口となっているマスのつなぎ目の穴。この穴もサイド、奥、真ん中といくつかのパターンがあります。
潮流や波、風の強さによって、攻める場所も限定されるときがあります。マスの中がジャブジャブで柱周りや横壁にエサを落とせないとき、奥壁だけにエサを落とせるときがあります。そんなときはチヌも動きをコントロールしやすい奥壁にいることが多いようです。特に波が荒いときは大きなアタリも出やすくなります。ピタッと止まるか、エサをひったくるようなアタリが出るでしょう。
スリットの釣りに慣れるまでに一番戸惑うことは、スリットの中の潮の流れや波のリズムが分からず、どうすればチヌの口元にエサを正確に送りこむことができるか、がわからないということでしょう。これを克服するには、オモリ使いも含めて、できるだけ数多く落とし込んで波のタイミングを読みきることが必要です。アタリを判断できる落とし方をしない限り、まずチヌを釣ることは出来ないでしょう。
次回は黒鯛道12 「スリット攻略、その二」を予定しています。