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2016年4月14日

知っておきたい魚の毒

魚の毒を大きく分けると刺毒、粘液毒、食中毒に分けられる。
 
刺毒というのは鬼オコゼやアイゴのように、毒棘をもつ魚に刺されたときに起きるもの。
 
粘液毒というのは皮膚から毒のある粘液を出す魚で、他の魚には影響があるが人間には余り実害がない。
 
最後の食中毒が一番怖く、フグ毒やシガテラ毒に代表される魚毒だ。
 
 
釣り人にはおなじみの刺毒はアイゴ、ゴンズイ、鬼オコゼ、ハオコゼ、アカエイなどが有名だ。

ハナミノカサゴ(刺毒・強烈に痛む)

イズカサゴ(釣り人の間では鬼カサゴの呼び名でおなじみ。刺毒)

オニオコゼ(刺毒・背びれに注意。強烈に痛む)

これらの魚の刺毒はタンパク質から出来ていて非常に不安定で、熱に弱いといわれているから、刺された部分を熱いお湯などにしばらく浸けておくと効果があるといわれる。
 
普通は刺された部分が腫れ上がってひどい痛みを伴うが死ぬほどではない。
 
ところが奄美大島以南の暖かい海のサンゴ礁の周りに多いオニダルマオコゼは、強烈な刺毒を持ちときには刺されて死ぬこともあるそうだ。
 
魚というよりは石のような魚で、サンゴ礁の周りの浅い海で遊んでいて、間違って踏んでしまい刺されることが多い。
 
この魚1匹で体重20gのマウスを2万尾近く殺せるほどの強毒を持つといわれている。
 
ちなみにマウスの量でいうと三重県でマテシバシ(待て!しばし)と呼ばれているハナミノカサゴで650匹、鬼オコゼで230匹というから、いかに強烈な毒か分かる。
 
日本にはいないがアマゾン川に住む淡水のエイの仲間も、刺されるとまず助からないほどの強毒を持つものがいる。
 
 
粘液毒を出すのはヌノサラシ科のキハッソクやアゴハタとハコフグ類だ。

キタマクラ(呼び名ほどは、毒性は強くないが、粘液毒を出すので、他の魚と一緒に入れておくと他の魚が死ぬ)

人間に直接影響はないがこのような魚を釣ってイケスに他の魚といっしょに入れておくと、粘液毒で他の魚が死んでしまうことがある。
 
ハコフグなどユーモラスで可愛いから水槽などで飼いたくなるが、他の魚とは一緒にしないことだ。
 
 
中毒の中で一番怖いのは、やはり食中毒だ。

ショウサイフグ(卵巣と肝臓は猛毒、皮膚と腸は強毒、筋肉は弱毒。食べられるのは筋肉と精巣)

なかでも有名なのは、当たれば死ぬことから、テッポウと呼ぶ地方もあるトラフグだ。
 
フグ中毒はテトロドトキシンと呼ばれる毒素が原因で起きる食中毒だ。
 
その毒性は青酸カリの1200倍以上ともいわれ、0.5ミリグラムで致死量といわれるほど。
 
 
テトロドトキシンは海洋細菌によって作られるといわれている。
 
これは自然に海底の泥の中にたまり、その泥を食べる生物から他の小動物を経て、食物連鎖でフグだけに蓄積される。
 
なぜフグだけに蓄積されるのかは解明されていないそうだ。
 
このフグ毒は無色、無臭、無味で熱でも分解しない。
 
ちなみにトラフグの毒力表によると、卵巣は猛毒、精巣は無毒、肝臓は強毒で皮は無毒、肉、つまり身は弱毒ということになっているが、個体差があり季節によっても毒の強さが変わるそうだ。
 
フグ科の魚で無毒なのはシロサバフグとヨリトフグだけ。
 
ハコフグ科とハリセンボン科は同じように無毒で、どちらもうまい。
 
 
ところでカモメやネコに毒のあるフグをやっても決して食べないのは、姿や形で識別しているのではなくフグが体表から多量のテトロドトキシンを出すからだといわれる。
 
 
フグ毒と同じように怖いのが熱帯から亜熱帯地方で中毒することが多いシガテラ毒だ。
 
これもヒラマサやカンパチ、ハタ類、フエダイ科の魚など食物連鎖の頂点に立つ魚を食べたときに起きる。
 
有毒のべん毛藻を食べた巻き貝やカニ、小魚などを食べた大型の魚の体内に蓄積される毒で、手足のしびれや痛み、頭痛、下痢やおう吐が数週間、長いときには何ヶ月も続く。
 
日本では沖縄や伊豆諸島にシガテラ毒を持つ魚が確認されているが、カンパチやハタ類などすべての魚がこの毒を持つわけではなく地域性がある。