場所は和歌山県御坊市の南塩屋。
釣り物は新春にふさわしい?スミイカです。
各自が釣ったスミイカを見せびらかしながら、スミを掛け合うのが新春恒例の行事になりつつあるのです。(笑)
さて、4日の早朝、船に乗り込んだ僕に向かって船長が、面白い仕掛け作ったんやけど使ってみるかと声が掛かりました。
見るとそれは2本バリの胴突き仕掛けでした。
いや、2本バリというのはおかしいですね。
2カ所に餌木がつけられるようエダスが出た胴突き仕掛けです。
下のエダスはオモリのすぐ上についていて、長さも5cmほどです。
上のエダスは、下のエダスの50cmほど上に付けられていて枝の長さも15cmぐらいあります。
「これ、ワシらが昔から使いよる仕掛けやねん。
ときどきイカがダブルで掛かってくることがあるから面白いで…」
スミイカは、底にいるとばかり思いがちですが、そうではありません。
昔、紀州の漁師に聞いた話は、実に興味深いものでした。
「スミイカは、その体色見たらやる気がある奴かない奴か分かるねん。
やる気というか食い気がない奴は、泥に潜ってじっとしとるから、腹側の色が茶色しとるねん。
ところが食い気がある奴は泥底から出てエサ探しとるから腹が白いねん。
この腹が白いイカが餌木にもよう乗ってくるし、少し底から浮いてる事が多いから胴突き仕掛けでも釣れるねん」
このように昔から漁師が使ってきたスミイカの胴突き仕掛けは、先の漁師の話から生まれたもののようですね。
そこで、一度スミイカをダブルで釣ってみたいという誘惑に駆られ、船長が作った胴突き仕掛けでやってみました。
イカの乗りは今までの仕掛けと遜色がないほどよかったのですが、掛かってくるのはやはり下の餌木ばかりで、上の餌木には一度も乗りませんでした。
なので、一度釣ってみたかったダブルの感触を味わえませんでしたが、もっとイカの活性が高いときに試してみると面白いかも知れません。
この日はきっと腹が茶色い怠け者?のイカばかりだったのでしょう。