落とし込み釣りは、一文字など平場の堤防の際を探るのが原則となります。
次に石畳や水深の浅いところなどで前方の底を探る前打ち釣り、スリットやテトラなどの障害物を探る前打ち釣りなどがありますが、基本は堤防の際や前の底、構築物、テトラの周りなど、エサが付着している壁、底、構築物の近辺を探っていくのが普通です。
いわゆる垂直の沖提では、壁から20cm以内にエサを落とし込んでアタリを拾って行くのが基本です。
堤防の先の底に構築物やテトラなどが入っているようなところでは、竿1本、2本前を打ってチヌを釣ることがあります。
台船などが堤防に着いているときは、堤防の際ではなく、台船の周り、台船と台船の間の隙間などでチヌを狙うことがありますが、船や台船も堤防に係留されておらず、水深が5ヒロ以上あり、明らかに底にはなにもない前方10mぐらいにエサを落とし込んで、2~3ヒロぐらいのタナでアタリをとってチヌが釣れることがまれにあります。
通常、食い気のあるチヌは堤防から離れず、際に付いていることが多いので、堤防の前のタナを狙って釣る落し込み師はあまりいないようですが、ある条件が整うと少し沖に出ているチヌがエサを捕食するのです。
以前、朝早く長崎の大村湾で少し沖を見ると、数匹のチヌが水面近くに浮いていました。
気配を消してカニエサを近くに落とし込んでやると、しっかりと喰ってきました。
ある夏のこと、ホームの神戸七防で先端内側、竿1本分前でタナ1ヒロぐらい、稚貝のダンゴをエサに、タナで待ち釣りして何匹もチヌが上がることもありました。
今年の秋、クラブ員のKさんは七防の外側、7~8m前のタナ2~3ヒロで、約1時間ぐらいで10枚以上のチヌを掛けました。
この日は近くに台船が数台係留していましたが、だいぶ離れたところで釣り上げたのです。
垂直一文字の堤防から前のタナを狙って釣るのは、ある条件が整わないと釣れないようですが、船や台船の移動、潮の溜まり、オイルフェンスの移動、大量のエイが堤防で捕食しているときなど、少しでも通常と違う状況が発生したときは、前のタナも狙ってみると良いかもしれません。
次回は、黒鯛道97 「茅渟の海、四方山話」、その19、下見釣行。を予定しています。