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2012年5月2日

マダイのコマセ作戦

魚は、その種類によって様々なエサの食べ方をします。
 
カツオやマグロなどの回遊魚は、海水といっしょにエサを呑み込み、前進しながら海水だけをエラから出してエサを食べます。魚類学者はこういうエサの食べ方を前進型と呼んでいます。
 
エサがあるところに群がって食べるアジやイワシ、サバなどは貪食型、ブリやヒラマサなどの青物は、前進型と貪食型の中間で前進貪食型に分類されるそうです。

では、マダイはどのタイプなのでしょうか?。
 
その摂餌行動は、飛びつき反転型になるそうです。つまり、エサに飛びついた瞬間に反転し、逃げるというわけです。アタリが出た直後に大きく竿を引き込むのは、このためです。
 
魚がエサを見つけるために様々な器官を使います。視覚、聴覚、それに嗅覚ですね。この中でマダイが他の魚より優れているのは、嗅覚だといわれています。
 
嗅覚の能力は、臭いを感じる器官、嗅房の嗅板の数とその配列によって決まるそうです。嗅板の配列は、H→G→F→D→C→Bの順に嗅覚が鋭くなるのですが、マダイは最高のHに含まれており、嗅板の数も55と多いのです。ちなみにサヨリやサンマなどは、配列がCと下から2番目と低く、嗅板の数も1つかしありません。イシダイでも配列はGで嗅板の数は24,マダイの半分程度しかないのです。
 
マダイがいかに嗅覚に優れた魚かお分かりいただけましたか。
 
では、その嗅覚に訴えるためにどんなコマセを使えばいいのでしょうか。関西では、完全フカセ釣りやテンビンフカセでも、コマセはオキアミオンリーというところが多いですよね。確かにオキアミはいいエサですが、臭いはさほど強くありません。
 
遠方からエサを感知させるために効果的なのがアミエビなのです。アミエビの臭いが強いのは、皆さんよくご存じですよね。そこでアミエビ主体ではなく、オキアミのエサに少しアミエビを混ぜてやる、これが意外に効果的なのです。
 
ブリやヒラマサのエサの食べ方は、前進貪食型と紹介しました。エサがあればむさぼり食うタイプですが、マダイはそうではありません。これは、あるマダイの養殖業者に聞いたのですが、マダイは一度にたくさんエサをやっても必ず食べ残すそうです。
 
だから、一日に何回も小分けしてエサをやらないと食べ残しが増え、摂餌の効率が悪いそうです。
 
こんな習性からも分かるように、マダイを釣ろうと思えば、青物のように大きなマキエカゴを使って、一度に大量のエサを撒く方法は適さないのです。
 
マキエカゴは出来るだけ小さめ、1回に撒く量も少なめにして、ちょぼちょぼ撒いてやるのが効果的なのです。
 
マキエ食べたいけど、もっとないかなと飢餓状態にしてやるのが、理想的な釣り方なのです。