ブリは成長するにつれて呼び名が変わる出世魚として知られています。ですから各地に様々な呼び名が存在しますが、関東では、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ。関西では、ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ。これが代表的な呼び名でしょうね。
さて、ブリと呼ばれる成魚でも特に10kgを超える大物は、狙ってもなかなか釣れないサイズですが、関東でワラサ、関西でメジロと呼ばれる60~70cmのサイズなら、各地でよく釣れています。
ワラサクラスでも、これから水温が下がるにつれて脂が乗り、美味しくなるシーズンですから、ぜひ一度、釣りに出かけてみてください。
さて、ブリやヒラマサなどの青物を釣る方法はたくさんありますが、これからの季節に安定して釣れる釣り方といえば、やはりオキアミをコマセにしてテンビンを使ったフカセ釣りでしょう。
集団で行動することが多い青物は、先頭の魚の行動に合わせて動きます。オキアミをコマセしながら釣るテンビンフカセの場合、先頭の魚がまっ先に向かうのは、マキエの量が多い場所なのです。
ですから、同じような船が何隻か並んで釣りをしている場合、5人乗っている船よりも10人乗っている船に最終的に魚が集まってしまいます。
これは、5人より10人乗っている船の方が、マキエの量が多いからなんですね。
こうしてオキアミのエサについた青物は、一心不乱にマキエを食べ、お腹がはち切れるのではと思うほど飽食します。それも仲間同士で先を争うように食べるため、半狂乱状態になるのですね。
こういう状態になった魚は、何も考えずにエサに飛びつくためハリが付いたサシエさえ見境なく食べてしまうのです。
マダイも同じ釣り方で狙えますが、青物のようなエサの食べ方はしません。エサを撒きすぎると、マキエでお腹がいっぱいになってサシエまで食べてくれないのです。だからマダイの場合は、出し惜しみするように少しずつマキエを撒いてやる方が効果的なのです。 ところが青物は、真逆ですね。一度にドバッと撒いてマキエで半狂乱状態にしてやる方がよく釣れるのです。それも大勢の釣り人が一斉にやると、さらに効果的です。
だから、オキアミコマセの青物釣りで使うマキエカゴは、大きくて目が粗いものが最適です。こういうカゴだと一度に大量のマキエが出るからです。ドバッと撒くと、撒いたところに魚が集まってきます。ところがハリスを長く取りすぎていると、サシエが遥か後方にあるため、魚がサシエのある場所にたどり着くまでに時間がかかってしまいます。
だから、オキアミコマセの青物釣りでは、ハリスは出来るだけ短めに取りサシエをなるべくマキエカゴに近づけておく方が効果的なのです。これも、マダイ釣りとは真逆ですね。マダイ釣りのときは、なるべくハリスを長く取って、エサをふわふわとふかせておく方が食いがいいのですからね。
同じ釣りでも狙う魚によって、釣り方そのものが変わってしまいます。面白い現象ですね。
次回は、魚は色を好むか、をテーマにお話ししましょう。