3月1日、近畿の主な河川の渓流釣りが解禁された。
釣りの対象になるのは、体一面に朱点と呼ばれる赤い斑点を散りばめたアマゴと、アマゴそっくりなのに朱点がないヤマメ、後は最も川の源流近くに住み冷水を好むイワナの3種だ。
渓流釣りは、もちろんこれらの魚を釣るために渓にはいるのだが、楽しみはそれだけではない。
魚を求めて渓を遡行し、次々と現われる神秘的な大淵や切り立った岩によって形成された廊下、荒々しい瀬に大きく落ち込む滝など、雄大な自然が目を楽しませてくれるから退屈しないのだ。
これは渓を遡行しつつ現場で体験することだが、そこへたどり着くまでに、国土地理院の2万5千分の1の地図をながめながら、今度はどこの渓へ入ろうかと思案しつつ、この枝を攻めてみたら面白いかも知れないと想像を巡らすのも、釣りに出かけるまでの楽しみのひとつなのだ。
渓流の解禁は3月だが、解禁直後の渓は人が多くて釣り荒れることも多い。
それよりも1カ月ほど我慢して、4月の渓へ出掛けることをお勧めする。
3月の渓は、まだ水温が低くアマゴも十分に体力を回復していないからだ。
それが4月にはいると瀬に出て盛んにエサを取るようになるので、サビも取れ、よく太り味もよくなる。
そして、この季節は例え貧果に終わってもほかの楽しみがあるからだ。
そう、渓流釣りには山菜採りの楽しみもあるのだ。
標高の高い山の渓に分け入ると、4月でもまだ蕗のとうが採れる。