各地で良型のグレが釣れていますね。
ちょうど今白子眞子パンパンのおいしい旬の時期であります。
しかも型が一年で一番いい時期です。
だんだん食い渋って釣りにくくはなりますが、面白い時期です。
さて前回より磯釣り秘話と題して磯場で起こったユニークなことなどを書いていますが、話せばきりがないほど面白いことがいっぱいあります。
徳島に行った時の話です。
阿波釣法の名手といえばまず江頭弘則さんが目に浮かぶ方は多いと思います。
その江頭さんと私たち夫婦が釣りをした時の話です。
チヌ釣りの取材でした。
撒き餌をしないでもフカセ釣りでチヌが釣れる。
こんなタイトルの取材です。
私たちも名手と釣りをするとあって緊張もしていましたが、特に家内は当時珍しい女性釣り師ということもあって、結構皆さんの引き合いに出されます。
福村の磯でのことです。
9月初旬はチヌの食性が変化して、硬いカラス貝を好んで食ってくる習性があります。
ほかの魚が食べないので落ち着いてありつけるからでしょうか。
何しろ当時の会話の内容がこんな感じでした。
私、「フカセは魚を寄せて浮かせて釣る・・が基本ですよね」。
江頭さん、「この時期は撒き餌をしなくても磯の周囲に魚が居ついているんだ」
とのこと。
したがって港沿岸の釣具店からカラス貝を購入してくるだけで撒き餌も撒き餌杓も必要ないのです。
ただし上手に釣らないと魚をかけても磯の際を落とし込んで食わせるのでハエ擦れなどが心配です。
また針を刺すときも貝殻のふちに注意しないとハリスを傷つけます。
そのあたりのすべてを名手の手ほどきを受けながら家内も真横で釣りをさせていただきました。
江頭さんはほんの数十分の間に4~5匹を釣り上げます。
それに引き換え家内の竿はちっとも曲がりません。
指導を受けたところに入れても食いません。
「おかしい・・・。」
江頭さんが仕掛けのチェックを入れるとウキから下が何にもない状態で頑張っていたんですね。
一生懸命釣っていましたが釣れないわけです。
緊張していたのと話を聞くことに夢中になって仕掛けを結ばず・・。
やはり名手と一緒にやるときは緊張するものです。
頭が真っ白になっていたんですね。
そんなところを見て江頭さんがさっさっさっとほんの数十秒で仕掛けを作っていただきました。
次の一投で間をおかずに見事チヌを仕留めました。
撒き餌はなくとも仕掛けは必要です。
不思議とこの時期のこの場所のチヌが大きいのも小さいのもおらずほとんど40~43センチのばかりそろっています。
不思議ですね。
一番元気のいいサイズだと思いますが、生息域、生息年数、縄張りなど人間にはわからない何かがあるのでしょう。
もう一つ。
釣友の話。
皆さんは磯の間にウキを落としたことはありませんか?
手も入らず箸のようなものは磯にはありませんし、仮にあっても丸いのでなかなかつかめません。
最近の高級ウキだけに早く回収したいのですがどうしても取れません。
釣り師だなと思わせることは、糸のついた針でウキを釣ろうとするあたりがさも釣り師が考えそうなことです。
当然掛かるわけはありません。
一度はあきらめて磯の隙間に見えているウキに意識を持っていかれまいと無視をして釣りを開始するのですが、色が目立つだけにどうしても気にって仕方がないようです。
釣りをやめて何とかウキを回収すべくまたもやいろいろやっています。
うろついて何か棒のようなものを探したり、道糸を撚ってウキの穴に通そうとしたり、はたまた一生懸命息を吐いて飛ばそうとしたり。
いよいよ疲れてもう何もかも嫌になったころ潮が満ちてきてちょっとした波が寄せてきたとき浮いてくるようになって、それを見てタイミングよくとれば・・・との思いで波を待ちます。
本人も結構ずぶ濡れで、粘っています。
とにかくウキを取らなくてはいけない使命感に燃えて、ひたすらがんばります。
もう間もなくとれそうです。
あとはタイミングの問題のみ。
ちょっと大きめの波が来ました。
波が磯の隙間にうまく入ってウキを持ち上げいその隙間から出てきました。
さすがに勢いがあって見事にウキが出てきました。
その分引き波も強く磯から出たウキは波にさらわれて沖に流れていきました。
おかしな話ですね。
笑ってしまいますが本人は一生懸命なのです。
(続く)