ケンサキイカは、頭頂部が剣のように尖っているところから生まれた呼び名だが、但馬海岸から山陰にかけての日本海側でシロイカと呼ぶのは、赤から透明な体に変身したときの色をさすのか、それとも死後の白濁した色からきたものか定かではない。
が、南紀のアカイカは釣り上げた直後の目の覚めるようなワインレッドから生まれた呼び名らしい。
胴が太くて丸いので関東ではマルイカ、若狭湾ではマイカ、ケンサキイカの名産地である。
長崎県では、五島列島周辺が漁場になるためゴトウイカとも呼ばれる。
船では、夏から秋にかけての釣り物だが、極寒の季節から春は、産卵のため岸近くに寄ってくるので山陰地方では地磯から狙える人気のターゲットなのだ。
ケンサキイカは頭足綱、ツツイカ目、ジンドウイカ科のケンサキイカ。
頭足綱とは、イカ、タコの仲間で多数に分かれた足が頭部の前方につき袋状の外套膜に包まれた内臓塊が頭部の後ろに位置するもの。
もっとわかりやすくいえば、頭からすぐに足が出ていて、人間の胴に当たる内臓の詰まった部分が頭の上にのっかっているけったいな動物ということになる。
このけったいな軟体動物の一種であるケンサキイカが、釣り人だけでなく巷間でもてはやされるのは、ひとえに食ってうまいからである。