正月明けから非常に強い寒波です。
ただ天気予報の長期予想では、今年は意外と春の訪れは早いのではないかとも言われています。
人の体感温度はいろいろですが厳寒期というのは、指先さえ痛くなり感覚がなくなるときさえあります。
あるいは北風が連続で吹き続いて体温を奪うときもあります。
はたまた朝の一番から日が沈むまでずっと影になるような場所もあります。
いずれにしても糸は出せない、針は結べない、鼻水は出る、首が回らない…など過酷という言葉が一番似合う時期です。
いろんな釣りを体験しましたが、まだ指先が冷たくなるような日でも日が差せば太陽の恩恵を十分感じられるときなどあって、かえって「生きているんだな~」と感慨にふけるときさえあってまだまだ我慢できます。
しかし一日中連続的な風が吹きしかも気温の低いときはさすがに心が折れてしまいます。
できるだけこんな日は釣りなど避けたほうがいいのですが、つい釣りたいという性分が上回ってしまって海に行ってしまうのです。
さらにずっと日陰の場所、そこから冷え切っていますし風もまわって本当に寒いところがあります。
しかし、人にとっては大変なのですが、海の中は外の冷たさのようなことはなく約2か月近くの気温と水温の差が生じる世界ですから、気温が冷たいときでも海は暖かいのです。
いっそ海に浸かったほうが温まるかもしれません。
たとえば大物グレがよく釣れるこの1月中旬から2月の上旬においては、気温は大体5℃~8℃。
しかし海は12℃~15℃もあります。
魚にとっては一番いい時期です。
温度変化に敏感というより温度変化に弱い魚はより温度変化の少ない場所を好みます。
つまり日も差さないような影になる場所こそ大物がいる可能性が大なのです。
影ということで海面から砕けてかき混ぜるような波も発生しにくく、影という地形から結構切り立って水深のあるところが多く、海の色もどす黒く見えます。
こういうところは格好の住みかと言えるのです。
人にとっては過酷でも魚にとっては良い場所なのです。
すでにその場にいると十分想定できますから、寄せるための撒き餌などは要らず、食い気を起こさせるほどの撒き餌で十分な時があります。
むしろその方が、時合が長く続くときがあります。
撒きすぎて食い気を半減させるより撒かずに食い気をあおるような作戦で釣ります。
厳寒期の釣りはすごい気候に耐える根性もさることながら良いポイントを見つけるということが大事です。
経験話をいくつか・・・。
東シナ海に点在する男女群島での話です。
韓国の近くに高気圧、秋田県のほうに結構発達した低気圧がありました。
低気圧が遠いということで目指す男女群島は好天のつもりで出かけました。
到着した時は好天だったのです。
ところがその日の晩。
出船時は小ぶりだった雪も2時間後に到着した磯ではなんとなくやや吹雪くような感じになっていました。
船は風裏というところに着けてくれまして安心していたのですがそのうち波長の長い猛吹雪になってきました。
とにかく道具が飛ばないようにしばりつけなくてはならないほどの風が吹き、やっと体の一部がはまりそうな岩陰に体を丸めてとにかくこの爆弾低気圧が過ぎるのを待ちました。
真っ暗な夜です。
風裏とはいえ対岸で打ち付けたしぶきが吹雪と一緒になってあられのような状態でたたきつけてきます。
ここからは気合と根性と体温を逃がさない工面と体力を消耗しないようにこらえるしかありません。
肩のあたりには氷がしがみついてきて分厚くなっています。
本当にやばいと思いました。
身の危険を感じるような状態です。
この耐える時間の長いこと。
明るくなれば船が来るだろうと思って頑張りました。
明るくなったら竿ケースから玉網の柄が伸びていました。
網をつけていたから風圧で出てしまっていたんですね。
重い撒き餌のバッカンはその場にありましたが、食料品を入れたケースはどこかに飛んで行ってありませんでした。
指が赤くはれ上がり凍傷だったんでしょうね。
非常にかゆかったです。
船がなかなか来ないので、せっかくの男女群島。
風は幾分ましになっていたので竿をだしました。
風に乗せて撒き餌と仕掛けを入れます。
待つこと数分。ぎゅんと一気に持ちもまれ、どうにも止まらずハリス切れ。
手は痛いし、思うように体は動かないし・・・でも魚の食い気はすこぶるいいし。
その日は何とかやり過ごし、さらに穴倉のような場所に移動してしばし仮眠。
起きて釣り始めるや、何の変哲もないただの影のような場所が入れ食い。
40㎝~50㎝がとにかく入れ食い。
寒さを忘れるような釣れっぷりでした。