雑食性のチヌの餌は実に様々です。
地域や季節、釣り方によってエサの種類も変化しますが、落とし込み釣りのエサの代表と言えばやはり、イガイ(カラス貝)でしょう。
明治時代にタンカーなどのバラスト水に混じって地中海から日本に入って来たと言われていますが、全国の多くの堤防で見かけることができます。
近年、秋になると定番になるミドリイガイも、やはり同じような経路で日本の海に入ってきたようです。
以前、ハワイ島のヒロの海岸を散歩しているときに、足元の岩に3cm前後のイガイが多く着いているのを発見しました。
が、その殻は石のようで、とても魚が噛み砕けるような硬さではなかったのを覚えています。
そのイガイを日本のチヌが噛んだらチヌの歯が欠けるだろうと思いました。(笑)
私のホームの神戸七防は、年にもよりますが一年中イガイがついていることが多いので一年を通しての基本エサの一つになります。
主に5月後半から11月ぐらいまでがイガイの季節です。
イガイエサの良さはいくつかあります。
まず、エサを採取するのが比較的容易にできること。
そしてエサ付けも簡単で手が汚れることもありません。
エサ持ちも時々水を替えてやることで、一日中元気なエサを使うことができます。
イガイのエサを付けるのに一番よくやる付け方は足糸掛けといって、イガイの繊維にグレ針の5号前後の針を使って繊維を縫うように掛けてやります。
イガイの使い方は、一枚掛けから2~3枚掛け、稚貝のダンゴなどそれなりに変化もつけることができます。
目印を使ったスライダーなどでは、その形状からなくてはならないエサとなります。
イガイは、堤防の変化があるところ、階段周り、ケーソンの継ぎ目など潮通しの良いところに新しいイガイが着くことが多いので、覚えておくといいでしょう。
エサは落とし込み釣りの3大要素の一つといえます。
釣り場のポイント選び、狙うタナ、その日使うエサ、は釣果を分ける肝心となります。
落とし込み釣りのエサの基本は、その釣り場に生息している着生物といえるのです。
次回は、黒鯛道75 「茅渟の海、釣行記」 その19、番外編 落とし込みのエサⅡ。を予定しています。