かつての玉ウキといえば、桐玉と呼ばれ、桐の天然木から作られたものが主流だった。
このような桐玉の直径を基準にして昔は、四分玉とか五分玉と呼ばれていたのである。
紀北が発祥の地だといわれる紀州釣りでは、ウキの脚の代わりにウキの下部に紐がついていて、この紐を道糸に固定して釣るスタイルのものと、割り玉といってウキの中心部まで切れ込みがあり、この切れ込みに道糸を通してから中心部の穴にようじなどを刺し、道糸に固定して釣るスタイルのものがあった。
この割り玉はもっとも磯釣りの歴史が古いといわれている。
徳島県の磯でも、メジナやクロダイ釣りに盛んに使われた。
このような割り玉が進化して誕生したのが円錐ウキだ。
これを作ったのも磯釣りが盛んだった阿波の釣り人だといわれている。
ウキは、その断面積が大きくなればなるほど、波などにはよく乗るかわり感度が落ちるといわれている。
たとえば水の粘性抵抗とか潮流、水温などの諸条件を考えず同じ浮力のウキに同じだけの力を掛けたとき、ウキの動く大きさ(感度)はウキの長さ、いいかえれば断面積の大きさに比例する。
これは玉ウキとヘラウキなどのスリムな棒ウキの感度を比べてみればよく分かる。
だから感度だけを優先させるなら、スリムタイプの棒ウキが一番なのである。
そのかわり波に乗りにくく、風が強い日などはトップが振れてアタリが取りにくいし、玉ウキほど遠投がきかないなどの短所もあるのだ。
さて、玉ウキが進化して誕生したのが円錐ウキだが、そのわけは、ウキの感度を少しでもよくしようと考えたためだ。
玉ウキの下部を削り、少しボディをスリムにして断面積を小さくすれば、水の抵抗も小さくなり感度がよくなる、という発想から生まれたものだ。
この時代の原型を今も保っている円錐ウキもまだ市販されているが、さらに進化して雨滴型のグレウキと呼ばれる形になった。
円錐の形からさらに上部の角が取れて丸くなり、ドングリのような形をしたものも多いので、ドングリウキとも呼ばれるようになったものもある。