気候温暖な紀伊半島の南岸で、温州ミカンが花を咲かせる季節になるとマアジの乗っ込みが始まります。
乗っ込みとは、産卵のために群れをなして浅場へとやってくる魚の行動を表わした言葉ですが、乗っ込み行動をする魚はおしなべて、その季節に旬を迎えることが多いのです。
乗っ込みを始めたマアジは、まさに釣ってよし、食べてよしの季節を迎えるわけです。
マアジはサバほどは、あしが早くありませんが、それでも日持ちのする魚ではありません。
だから、たくさん釣れたときに困りますね。
食べきれずに置いておくと、どんどん鮮度が落ちてまずくなってしまいます。
そこで、手っ取り早い保存法が干物にすることです。
新鮮な内に干物にしておくと、味が濃縮されて鮮魚よりも美味しくなりますね。
ただ、干物を作るとき暑い夏は向きません。気温が高すぎると表面だけが早く乾いてしまって、中の身がぐちゃぐちゃになってしまうからです。
日差しがあって気温が低く空っ風が吹くような日が干物作りには理想的なのですが、季節的には9月ごろから翌年の3月ごろまでがいいといわれています。