魚は人間ほど敏感な色覚を持っていないので、色盲に近いといわれています。
でも、色に対する反応は確かにありますよね。
たとえばルアーでは、赤い斑点が入ったものによく反応するとか、船で沖へ出てサビキ釣りをするときに、チモトを赤く塗った擬餌針を使うとサバが食う確率が高いので、アジやイサキを狙うときは、このようなサビキ仕掛けは使わない方がいいと船頭にいわれたこともあります。
これなどサバには、ハリのチモトに塗った赤がどのように写るのか分かりませんが、色に反応していることは確かなんでしょう。
同じような例がイサキにもありますね。
最近はイサギ釣りといえば、ほとんどスキンを使った擬餌針が使われるようになりましたが、その昔紀州では、チッチとか土佐カブラと呼ばれる擬餌針を使っていました。
この擬餌針は、小さなものですがカブラバリですからハリのチモトに小さな鉛のオモリが付けられていて、このオモリに小さな穴が斜めに空けられています。
この穴にハリスを通し、片方の端に結ぶこぶを作って使うようになっています。
もちろん擬餌針ですからハリのチモトに斜めにカットされた魚皮(ハゲ皮やサバ皮)を結びつけてあるのですが、この魚皮を固定するときに使う糸の色が狙う魚によって違うのです。
先に挙げたようにサバのときは、赤色の糸で結んであります。アジの場合は、確か白でした。
そして、イサキの場合は、どのメーカーのものもなぜか黄色の糸を使ってあったのです。
これは、現代の沖釣りでも同じような使われ方がされていませんか。
たとえばイサギのウイリー釣りでは、ウイリーの色は圧倒的に黄色や黄緑色が多いと思います。これはほかの色よりそれだけよく釣れるから使われているのでしょうね。
紀州では、イサキ用の擬餌針に黄色の糸を使うだけでなく、ハリもクロームメッキしたシルバー系のハリではなく、昔から金バリが使われているのです。
これもイサキの黄色好みとぴったり合いますね。
ですから、もっと黄色を生かした擬餌針なり仕掛けを考えだしたら、いま以上にイサキがよく釣れるかも知れません。
イサキは、成金趣味なのかどうかは知りませんが、黄色の糸と金バリを好むことだけは間違いないようです。(笑)