今回はメバルに例を取って、なぜ追い食いするのか、追い食いさせるにはどうすればよいのかを解説してみましょう。
メバルに限らず魚はハリに掛かると、そのショックでそれまでに食べたエサをよく吐き出します。
こんな魚の習性を利用して、海洋釣り堀で1人、マダイを入れ食いさせている人にお目に掛かったことがあります。
その釣り堀名人曰わく、マダイを掛けたらすぐ上げるのではなく、掛けたタナでしばらく暴れさせてエサを吐くのを待ちます。
エサを吐かせると近くにいたマダイが寄ってきて、マダイが吐いたエサを食べているうちに間違ってハリに付いたエサも食べてくれます。
そのマダイもすぐに上げずにエサを吐かせ次のマダイが食うのを待っていると、そのタナにマキエがたまり、次々とマダイが寄って来るそうです。
釣り堀のマダイといえども、ちゃんと警戒心を持っているので、ハリに付いたエサはなかなか食べてくれませんが、仲間が吐いたエサは警戒せずに食べるようです。
これは釣り堀のマダイの例ですが、シーズンたけなわのメバル釣りでも同じことが言えるのです。
大阪湾の南部にある乗合船の船長は、晩秋から翌春にかけてメバルを専門に釣らせてくれるのですが、エサはほとんど使わずシーズンの間は、ハリが6、7本付いたサビキ仕掛けで釣りをします。
この船長は、流し始めにアタリが出ても絶対に仕掛けを上げるなといいます。
流し終わるまで待って、待って追い食いさせるのです。その日乗り合わせた人がすべて同じようにしたら、そのポイントにはメバルが吐いたエサがたまり、何度か流し変えている間にメバルの活性が高まって、今度は放っておいても勝手に追い食いして来るというのです。
その言葉通りのことを何度も体験しました。メバルが掛かってもすぐに上げず、出来るだけ多くエサを吐かせるようにすると、同じタナでじっと待っているだけで、勝手に向こうから仕掛けに飛びついて来るのです。
追い食いの原理は、最初に掛かった魚が暴れてほかのハリに刺したエサや擬餌針が動くため、その動きにつられて飛びつくのだといわれています。
確かにそのような要素もあるかも知れませんが、ハリに掛かった魚が吐いたエサにつられて夢中になって食べているうちに、ほかのハリに飛びつく、という方が大きいのではないでしょうか。
さて、メバルを追い食いさせる方法ですが大まかにいえば二通りあります。ひとつは、釣れたタナでじっと待つ方法。もうひとつがごくゆっくりリールを巻きながら誘う方法ですね。
リールを巻きながらタナを変えて追い食いさせる方法は、どのハリに魚が食ったのかが分かると残りのハリにも食わせやすいですよね。
一番下のハリにメバルが食ったとき、リールをどんどん巻いてしまうと、メバルがいるタナから離れてしまいますよね。
反対に上バリから食わせていけたら、仕掛けをゆっくり上げているうちに残りのハリにも食ってきますよね。
どのハリに食ったのか、100%は分かりませんが、ある程度はアタリの大きさや魚の引きで判断することが出来ます。
一番下のハリにメバルが掛かったとき、オモリに近いため余り暴れません。
ところが一番上のハリだとオモリのような動きを妨げるものがないので、アタリも大きく、ハリに掛かったメバルもよく暴れるのです。
こうして、上バリに食ったか、それとも下バリかを判断しながら釣れるようになると、ずいぶん追い食いさせやすくなります。
次回は、タナ取りについて紹介します。