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2013年11月28日

ハリスはなぜフロロカーボンラインなの?

陸っぱりや船釣り、あるいは川や池の釣りでもハリスといえば、フロロカーボンラインがすっかり定着した。
 
でもなぜ、フロロカーボンの糸がハリスとして人気があるのか、その秘密を探ってみたい。
 
フロロカーボンのハリスが初めて登場したのは、いまからちょうど30年前の1971年のことだ。

クレハが発売した「シーガー」がフロロカーボンハリスの草分けで、数年後には圧倒的な支持を得るようになる。
 
フロロカーボンとは、ちょっと専門的で難しいがフッ化ビニリデン樹脂の総称的なもので、簡単にいうと塩化ビニリデンにフッ素がくっついたもの。
 
原子のレベルでいうとフッ素と水素と炭素からできており、水素と炭素からできたものがハイドロカーボンと呼ばれるのに対してフロロカーボンと呼ばれる。
 
この樹脂の特長のひとつが、耐熱性に優れていて毒性がないこと。
 
ゆえに台所用品としておなじみのラップなども、ほぼ同じ素材で作られているそうだ。
 
フロロカーボンがハリスとしてよく使われるのは、その特性にある。これはナイロンラインと比較してみるとよく分かる。
 
まず比重は、ナイロンが1・14に対してフロロカーボンは1・78もある。
 
これは何を意味するかというと、比重が高くなればそれだけ糸の沈みが早くなり、仕掛けも早くなじむことになる。
 
最近のグレ釣りはハリスを3ヒロとか4ヒロも取ることがあるが、こういうときにナイロンに比べて早く仕掛けがなじむフロロカーボンのハリスが有利なのである。
 
吸水率は、ナイロンが8~10%あるのに対してフロロカーボンはゼロである。
 
糸は吸水するとその分強度が落ちる。ナイロン糸を長時間使っていると、糸が白濁してくるのは、吸水するためである。
 
こうなると強度が落ちるだけでなく透明度も悪くなるので、魚にハリスの存在を見破られやすくなるわけだ。
 
ところがフロロカーボンはまったく吸水しないから、水の中でも、その強度は変わらないし長時間使っていても白濁しない。
 
また、水中での屈折率がナイロンが1・58に対してフロロカーボンは1・42と小さく、水の屈折率の1・33により近いため、水中では見えにくく目立たないというのも大きな特長のひとつだ。

軟らかくてよく伸びるナイロンに比べ、腰が強くしゃきっとしていて水切れがいい、というのがフロロカーボンの特長であり、磯のグレ釣りなどのようにハリスを一直線にして角度をつけることが要求される釣りには向いているし、船の胴突き仕掛けなども、腰の強さを生かしてエダスが垂れずしゃきっとしていて絡みにくいなど、ハリスとして使用するときの大切な要素を、いくつも備えているのがフロロカーボンラインなのだ。
 
ただ、フロロカーボンは、長所しかない魔法のラインではない。
 
引っ張り強度や結節強度はナイロンラインより少し落ちるし、摩擦に弱いのも欠点のひとつだ。
 
だから糸を結ぶときはかならず、唾液などでぬらして滑りをよくして結ぶことだ。