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2013年10月10日

イワシという魚のお勉強

普通にイワシといえば、マイワシのことだが重要な水産資源としてはマイワシの他、カタクチイワシやウルメイワシが代表的なものだ。
 
イワシとは、弱しが転化したものだといわれている。ウロコが取れやすく水を切るとすぐに弱るからだ。
 
他に体側に散る黒点からナナツボシと呼ぶ地方もあるが、実際にこの黒点は7つに限らず7~10個ぐらいある。

ヒラゴ、オイザサ、キンタロウイワシなど、古くから庶民に親しまれてきた魚だけに全国津々浦々に呼び名があるといわれるほど。
 
日本近海で取れるイワシは、春から夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下する。産卵期が2月から3月にかけてだから味が良くなる旬は、秋の終わりから初冬。
 
エサは動物性のプランクトンで、口を開けて泳ぎ続け海水といっしょに飲み込んだプランクトンを密生したエラで漉しとってエサにしている。
 
このように食性も性質も極めておとなしい魚ゆえにか、他の魚や鳥などのエサになることが多い。
 
イワシやサバなどの仲間は浮き魚と呼ばれ群れで行動するため補食しやすく、大量にいて栄養価が高いためだ。
 
いいかえれば世界中の海にイワシがいるからこそ、他の魚も生きていられるといっても過言ではない。それほど大量に食べられているのだ。

ところが人間は、安くて栄養価も高いというのに昔ほどイワシを食べない。
 
取れたイワシを生鮮食品として利用しているのは、漁獲量の40分の1程度、残りはそのまま養殖魚のエサになったり、フィッシュミールと呼ばれる魚粉になって養鶏や養豚、渓流魚の養殖のエサなどに使われている。
 
市場では、6~12cmのマイワシを小羽(こば、または、しょうば)、12~18cmのものを中羽(ちゅうば)、20cm程度のものを大羽(おおば)と呼ぶが、目刺しなどは中羽、よく脂が乗った大羽は刺し身やタタキにあう。
 
「イワシ、七度洗えばタイの味」といわれるほどで、ほどよく洗って脂気を落とすとタイにも負けない味になる、それほどうまいという例えだ。
 
特に新鮮なイワシの刺身は、裂きなますとも呼ばれ、二杯酢やショウガ醤油で食べるとうまい。
 
イワシの身は金気を嫌うので手開きにするのがセオリーだ。
 
他に塩焼きも「イワシの焼き食いめし1升」といわれるほど。
 
少し鮮度が落ちたものは、針ショウガと梅干しをいっしょに煮たものが最高。
 
マイワシの仲間のウルメイワシは、目に厚い脂瞼(しけん)と呼ばれる脂肪の層があり、目がうるんだように見えるところからこの名がある。
 
目刺しにするとマイワシよりうまい。
 
カタクチイワシを干したものがゴマメ、これを甘辛く煮たものが田作り。
 
ゴマメは五万米(ごまめ)とも書かれるように、この魚を肥料にすると5万俵もの米が取れたから。
 
田作りは、田んぼの肥料として使われたためだ。