でも、これって本当でしょうか。追いの善し悪しと黄斑の色との因果関係は、よく分からないどころかはっきり言って、まだ解明されていません。
それに、誰が言い始めたのか定かではありませんが、あのアユの胸に浮かび上がる黄斑を追い星と呼ぶことすら間違いなのです。
本来、追い星というのは、産卵期を迎えたコイ科魚類のオスに多く見られる現象で、主に顔の周りに数多く現われる白色、瘤状の小突起のことです。
コイやオイカワ、カワムツなどが代表的な魚ですが、これらの魚のオスが産卵期を迎えると、婚姻色といっしょに顔の周りや背、胸ビレなどに追い星が現われます。このような追い星の内、角質層で覆われたものを真珠器または繁殖粒と呼びます。
何のために追い星が現われるのか?。ひとつは巣や縄張りをつくる魚は、巣や縄張りに侵入してきた他の魚に体をぶつけ、追い星で傷を付けて追い払う役目があるのと、産卵を迎えたときオスがメスを突いて性的刺激を大きくする役目があるそうです。
いずれにしても追い星というのは、オスだけに現われる現象で、アユの黄斑のようにオスにもメスにもあるものではないのです。
ましてや、黄斑の色が濃いから追いがいいというのは、迷信に過ぎないのではないでしょうか。ただ、全身が真っ黄色のアユは、確かに追いがいいという話はよく聞きますね。あれは戦闘態勢に入ったアユなんでしょうかね。なぜ全身が真っ黄色になるのか、それはまだ謎ですね。