いかにも魚らしい姿、なぜかほっとする暖かな色合い、その身は虹色に輝きほどよく甘い。姿、色、味。魚に求められる大切な三つの要素を備えている魚がマダイである。
海洋民族であった日本人は古来からマダイを珍重してきた。正月や慶事などの祝膳に出される丸ままの魚、いわゆる尾頭付きとは、本来、新鮮なマダイだけを指した言葉なのである。ほかにも青葉ガツオにさくら鯛とか五月陰暦の腐れダイ、夏の鯛はイヌも食わぬなど、数多くの言い伝えが残されているが、ちょうどこれからがさくら鯛のシーズンである。
2013年3月21日