最近のメバル釣りは、エサよりも擬餌針で釣ることが多くなった。これはエサづけの手間が省けるし、メバルの食いが立つと一度に3匹、4匹と掛かりエサ釣りよりも数釣れるからだ。
ただ、味もにおいもなければ、自分で動くことさえできない擬餌針で釣るのだから、潮の助けをかりないことにはたくさんは釣れない。潮が止まったり流れが緩いときは、どうしても擬似餌の動きが悪くなるのか、総じて食いはよくない。反対に潮がよく動く日ほど食いが立つことが多い。
これは擬似餌の動きがよくなるだけでなく、潮高差が大きく潮がよく流れる日ほど海が濁るからだ。大きな目をしたメバルは、視力もよいといわれる。だから潮が澄んだときよりは、よく濁ったときの方が、擬似餌でだまして食わせやすいという理由もあるからだ。
メバルは根につく魚だから、底近くにいると思い込んでいる人が多い。ところが漁師にいわせると、底近くで食う場合は食いが渋いとき、食いが立ってきたら底から3ヒロや4ヒロも上で食うことも珍しくなく、そんな日ほどよく釣れるという。
道具の準備ができて船頭から「やってよ」の声がかかったらとりあえず仕掛けを底にまで下ろし、オモリがトンと底へついたら、余分な糸フケを出さず素早くリールを4、5回巻いて、1ヒロほど底を切った方がよい。
底取りが終わって1ヒロほど仕掛けを上げたら、そこでじっと待っていてもメバルは釣れない。擬似バリを動かさないことには食わないからだ。誘い方は二通りある。ひとつはごくゆっくり竿で誘い上げる方法。竿を水平の位置に構えたら、時計の秒針の速さをイメージしながら、ゆっくり竿いっぱいまで誘い上げる。そのあとは、同じようにゆっくり竿先を水平の位置まで戻しながら、糸フケを出さないよう道糸を巻き取っていく。
この動作を3回ほど繰り返したら、底から3、4ヒロ上のタナまで探ったことになるので、もう一度、リールをフリーにして仕掛けを底に下ろし、同じことを繰り返す。メバルの食いがいいときは、これを繰り返しているだけで釣れるが、食いの渋いときは誘いあげのスピードをさらに遅くするか、40~50cm誘いあげたら動きを止め、2、3秒待ってアタリがなければ、また誘い上げて止めるという動作を繰り返す。つまり、誘い上げの動作の中にメバルが食う"間"を作ってやればよいわけだ。
誘い上げている途中で、ククッとしたアタリが出ても合わせる必要はない。アタリが出た時点ですでにメバルはハリに掛かっているからだ。アタリが出たら、底からどれぐらい上で食ったかをリールのカウンターの数字で確認し、そこで仕掛けを止めて追い食いを待ってもいいし、さらにゆっくりリールを巻いて追い食いさせてもよい。
メバルは必ず群れでいいるから、アタリがあってもすぐに仕掛けを上げず2尾、3尾と追い食いさせてから上げることだ。仕掛けに何尾ついたかの判断は難しいが、数がつくほど重くなるし、竿先に出るアタリも頻繁になるからすぐに分かる。追い食いさせたときメバルが仕掛けの上部ばかりについているなら、もっとタナを上げて誘った方がよいし、反対に下の方ばかりに食ってくるときは、もっとタナを下げて、底近くからゆっくり誘い上げてきた方がよい。
アタリが多いのは誘い上げた直後、つまり、止まっている仕掛けを動かした途端に食うことが多いので、食いの悪いときほど小刻みに、この動作を繰り返した方が釣果が上がる。また、サバ皮の擬似はちぎれたり、ちじれたりすると食いが悪いからすぐに交換すること。