太平洋からオーストラリアにかけての温かい海に生息し、岩礁やサンゴ礁を好んでついている。近年では海水温が上昇傾向にあるため、分布域が北上しつつある。ヒョウモンダコの吸盤は小さく、また墨も持たない。その代わりと言ってはなんだが、唾液に猛毒を持つので「殺人ダコ」と言われている。しかも攻撃性が強い。産卵期は晩秋頃。メスは自ら産んだ卵を半年ほど守るという習性を持つ。他のタコの仲間と比べると泳ぎは不得意であるが、この変異する体色で外敵から身を守っている。猛毒を持つ種ではあるが、観賞用としては人気が高く飼育する人が増えている。しかし水槽を這い上がったり、他の種と混同で飼うことはできないので飼育の難易度は高い。
体長は10cm・体重は25g程しかない小型のタコで、ヒョウ柄のような模様がある。体表のヒョウ柄は刺激を受けると蛍光の青色に変色し、その他の部分は黄色に変色する。これがヒョウモンダコという名前の由来である。これらの模様は胴体部がライン状で、足の部分がリング状の模様となっている。刺激を受けていない通常時はヒョウ柄模様はなく、他のタコの仲間と見分けをつけるのが非常に難しい。通常時は全体が黄色っぽい体色で、縞模様は褐色である。これは岩礁域と一体化してカモフラージュできるような色味である。また、触腕が細く短いのも特徴の一つ。
ふつう食用としない。
猛毒のテトロドトキシンを唾液に持つ。テトロドトキシンは青酸カリウムの850倍の毒性を持ち、フグの仲間に含まれているものとして有名である。誤って体内に入っていしまった場合は、吐き気や痙攣、痺れなどの症状がでる。最悪の場合は死に至ることがある猛毒なので大変注意が必要である。近年の研究では唾液以外の筋肉や皮にも毒素を持つことがわかっているので決して食してはいけない。テトロドトキシンは、水で洗い流したり加熱処理をおこなっても毒素は分解されない。また、解毒剤もない。万が一毒に侵された場合は、すぐに救急車を呼び対応してもらうこと。