北海道以南の各地、朝鮮半島、東シナ海に分布しており、沿岸の砂泥底に生息する。夜行性の魚のため、昼間は砂泥地の穴に潜り休みながら潜んでおり、夜になると餌を求めて動き出す。食性は肉食性で小魚や貝類、甲殻類などを捕食する。さらには海中で死んでいる魚の死骸なども食べるため、「海の掃除屋」とも呼ばれている。産卵期は6月~9月頃で、完全に成熟した卵を持つ親魚は沿岸では知られておらず、晩春から秋頃に南海の黒潮水域に移動して産卵すると考えられている。1年で約15cm、4年で約40cm程度に成長する。狭い部分に入り込もうとする習性を持つため、アナゴ筒や籠で漁獲されている。他にも底引き網や、はえ縄漁などでも漁獲される。ウナギの養殖は盛んに行われておるが、マアナゴに関しては養殖が難しいといわれている。
ウナギのような細長い体形をしており、全長はオスが約40cmで、メスが約90cmと雌の方が大きく成長する。体色は背側が茶褐色や銀灰色のような色で腹側は白い。側線上には、はっきりとした白色の点線が一列にが並んでいるのが特徴的である。他のアナゴ科とはこの点で区別ができる。また、ウナギとも似ているが、マアナゴは下顎よりも上顎が突き出しているという点から見分けることができる。これらの上下の顎には門歯状の歯が一列に並んでおり、その両側には小円錐歯の短な歯がある。顎の力は強い。白目が大きいのも特徴的である。
透明感のある白身で、ウナギよりも脂肪分が少ないが、その身は程よい脂の甘味ととろけるような味わいを楽しむことができる。旬は晩春から夏にかけて。熱を通しても固くなりすぎないので、焼きものが主流である。他にも天ぷらやフライ、煮物などが人気である。マアナゴの血液と表面のぬめりには毒があるため、素人の生食は控えたほうが良い。鮮度を保つために、早めに血抜きをすることが大切である。血抜きせずに放置してしまうとアナゴの体中に血が回ってしまい、臭みが出たり、せっかくの身がぶよぶよになってしまう恐れがある。
成魚の血液にはタンパク質性のイクチオヘモトキシンという毒素が含まれ、下痢や吐き気などの中毒症状を引き起こす。また、目に入ってしまうと結膜炎になったり、傷口に入ると炎症を起こすなど、様々な症状が出る。重症で最悪の場合は死に至ることもある。タンパク質の毒は60.5℃の温度で加熱すると消失する。このためマアナゴは生で食べずに蒲焼きや焼きアナゴなどが主流になっている。さらにマアナゴの体表の粘液にも神経毒が含まれており、こちらも傷口などについてしまうと炎症を起こすことがあるので、触る際は手袋をし、触ってしまった場合はしっかり洗い流すことが大切である。
釣り船,投げ,防波堤
内湾,砂地,河口
南日本,北日本,日本海,瀬戸内海,東シナ海 ,琉球列島