北海道以南の太平洋沿岸から、日本海の沿岸に分布しており、水深100m~200mの沿岸部分に生息している。主には軟体動物や甲殻類、小魚を捕食する肉食性の魚である。産卵期は3月頃から7月頃で南のものの方が早い。マフグはよく漁獲され、「ナメラ」や「ナメタ」など様々な呼称で親しまれている。庶民的なフグで価格も安定しており、マフグの筋肉部分と精巣(白子)は食用として市場にも出回っているが、その他の部分には猛毒があるため、食用は禁止とされている。また、調理をする際は免許が必要のため、免許を持っていないものは捌くことはできない。
フグ科には比較的多い体表の棘がマフグにはなく、なめらかな体表をしていることや、各ひれはやや黄色みを帯びており、胸びれの後方に黒い斑紋があることなどから、「ナシフグ」とよく間違われる。しかし、マフグは胸びれ後方にある暗色の斑点が白色で縁取られないことから見分けることができる。また、体側には、口元から伸びる、はっきりとした1本の黄色の縦縞があることも特徴的である。しかしマフグの体色は成長するにつれて全体の色素が薄くなることもある。体長は20cm~45cm程度でフグ科のなかでは中型の魚。
透明感のある白身で、少し水っぽいが、クセもない。食べられるのは筋肉と精巣の部分のみだが、その美味しさから人気は高い。刺し身にする場合は、身が少し柔らかいので、さばいてから水分を取り、1日~2日ほどねかせたほうがよい。すると、身の食感も楽しむことができる。他にもふぐちりや、白子の串焼きや味噌汁など様々な調理法に合う。また、一夜干しや干物にすると水分が抜けて美味。手頃な価格で流通するので、大衆魚として食べられる。
マフグにはテトロドトキシンという毒が含まれており、マフグのほとんどの部分に毒がある。卵巣と肝臓は猛毒、皮膚と腸は強毒、筋肉と精巣は無毒となっている。症状は食後30分~3時間以内に痺れや麻痺症状が出る。麻痺症状は徐々に四肢にや全身に広がり、重症の場合は呼吸困難を引き起こし死に至る場合もある。フグ毒に対する解毒剤はないが、人工呼吸などの確実な処置を施せば延命はできる。調理する場合は専用の免許が必要であるので、注意が必要である。
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