室蘭以南の太平洋岸、日本海西部に分布。春の産卵期には接岸するが夏から冬は沖合にす生息する。筋肉、皮膚は無毒だが、卵巣や肝臓は強毒を持つ。毒性は地域や季節で変異がある。甲殻類や小魚、貝類などを主に捕食する肉食性である。トラフグはフグの仲間の中で食味が最も良いとされ、フグ料理でも多く利用される重要な食用魚である。近年では、無毒のトラフグを養殖されるようになってきており注目を集めている。産卵期は春から初夏にかけてで、メスは産卵期が過ぎるとその場を離れるがオスは球形の卵を守る。沈性があるので砂の中に浅く埋まっていることがある。オスはこのように過ごし次の産卵行動に備える。
体色は、背中の部分は黒っぽいが、お腹の部分は白い。胸ビレ後方上方に白く縁取られた黒色斑がある。臀ビレは白いか、赤みを帯びている。フグの仲間では比較的大きく成長し、大きいものであると体長70cmに達する。見た目はカラスに似るが、カラスの臀ビレは暗色であるのでその点で見分ける。他のフグの仲間と同様に、お腹部分にある内臓を膨らませて体を丸く膨張させることで天敵を威嚇する。体表は小さな棘で覆われておりザラザラとしている。毒素以外にも、トラフグの持つ歯は鋭いので注意が必要である。近年では養殖の個体も多く市場に流通しているが、養殖のものは天然のものに比べると尾ビレが短いのが特徴。また、全体的に黄色みを帯びている個体が多い。
てっさ、てっちりが代名詞のようになっているがどのように料理しても非常に美味しいフグの最高峰。皮の湯引きや白子(精巣)の塩焼きなどは絶品。鮮度が良いものを薄造りにする際は、一晩寝かせたほうが身が縮みにくくなり調理しやすい。トラフグの白子はクリーミーでトロトロしていており大変濃厚であるが、ひつこすぎず上品な味わいで強いうま味を持つ。天ぷらや白子ポン酢、昆布締めにするのがお勧め。皮も捨てずにてっさの横に添えたり、煮こごりにするなどの楽しみ方がある。また、ヒレを干して炙り、熱燗と合わせたヒレ酒も大変人気がある。身自体も、唐揚げや焼きフグなど様々な調理法で楽しむことができるふぐ料理店でも多く使われ、食用魚として流通している種であるが、フグを捌くのは専門の免許を持つプロのみ可能である。
肝臓・卵巣は強毒。筋肉・皮膚・精巣は無毒。毒の種類は他のフグと同様に「テトロドトキシン」という種類の神経毒で青酸カリウムの850倍の毒性を持つ。このテトロドトキシンを多く含むヒトデ貝などを捕食することでトラフグ自体も毒素を持つようになる。誤って体内に入っていしまった場合は、吐き気や痺れ、痙攣などの症状がでる。最悪の場合は死に至ることがある猛毒なので大変注意が必要である。テトロドトキシンは、水で洗い流したり300℃以上の熱で加熱処理をおこなっても毒素が分解されることがない。また、解毒剤もない。
釣り船
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