南日本から琉球列島に分布。水深200mまでのサンゴ礁の周りに多く生息する。比較的日本での生息範囲は広い。ハタの仲間は海底付近を回遊するが、バラハタは中層域を回遊する姿がよく見られる。甲殻類や小魚などを好んで捕食する肉食性の魚。攻撃力の強いシャコも食すので、バラハタもかなり攻撃力が強いと言える。外道としてあがることはあるが、専門的に狙うことはほとんどない。美しく派手な見た目の魚であるので幼魚は観賞魚としても人気がある。暖かい海流の地域でよく見られるので、沖縄では「ナガチューミーバイ」と呼ばれている。大型のものはシガテラ毒を含む可能性が高いので市場などでは体長47cm・重さ2kg以下のものが売られていることが多い。
尾ビレが三日月形に深く切れ込み両端が長く伸びる。体色は鮮やかな赤から茶褐色まで変異が多い。各ヒレと全身の体表に赤やピンク色の斑紋がある。幼魚のうちは体色も成魚とは異なり、白や緑など様々である。目から尾びれまで太く黒い縦帯が通っているのも幼魚の姿ならではである。体長は一般的には60cmほどであるが、80cmを超える大型のものも存在する。見た目はオジロバラハタやスジアラとよく似るが、オジロバラハタは名前の通り尾ビレの後端が白い。バラハタは尾ビレの後端が黄色いのでこの点で見分ける。尾ビレだけでなく胸ビレや背ビレなども後縁が黄色くなっている。
透明感のある白身魚。食味は良く、脂ののりがよいタイのような味と称する人もいるほどである。クセや臭みはまったくなく刺身や煮物、唐揚げなど様々な料理で美味しい。皮は厚くしっかりしているので刺身で食べる場合は皮を引いたほうが良い。皮を引かない場合は焼霜造りにしてしっかりと炙るのがポイント。塩焼きにすると身がかたくしまり淡白な味わいなのであまり向かないが、カマの部分は別。筋肉とは違い身がプリプリで甘みも存分に感じられる。アラや骨からは非常にいい出汁がでるので汁物や鍋物でも美味しい。沖縄でよく食されていることから、マース煮もバラハタの定番料理の一つである。
南方海域の魚はシガテラ毒を持つので注意が必要。シガテラ毒とは、熱帯地域の海域に生息するプランクトンが発する毒のことで、大変な食中毒を引き起こす毒である。症状としては、数日にわたる「吐き気、下痢、腹痛」などが挙げられる。「不整脈、感覚異常、神経の異常障害」などの重い症状が一週間異以上も続いた例があることも報告されているため注意が必要である。バラハタにおいては、シガテラ毒をもつ個体が黒色に変化するので見た目で判別することができる。大型になればなるほど特に危険性が高い。シガテラ毒を含んだバラハタを「ヤクザ」と呼ぶ。
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