本州中部以南、東シナ海に分布。相模湾一帯の沖釣りでオニカサゴと呼ぶのが本種。水深100~150mの砂泥底に生息し、小魚やエビなどの甲殻類を主食としている。水圧の変化に強く、ハリに掛かると水面まで激しく抵抗するため、釣り人には人気の魚である。各ヒレの棘は鋭いので扱いは要注意。美味しいものが多いカサゴ類のなかでも食味は最上級とされる。大物は50㎝ほどの大きさになる。産卵期は1~3月頃で、カサゴ類では珍しく卵を産む。年間を通して水揚げがあり、味も年中変わらないが、より美味とされているのは秋から冬にかけての産卵を終えた時期であると言われている。料亭などの高級料理店に直接おろされるため、市場ではなかなか見ることができない魚である。
全身明るい赤~橙色の鮮やかな体色をしている。イズカサゴの背ビレ軟条と臀ビレ、胸ビレに、中心が黒っぽい暗赤色斑が散らばる。体高は低い。見た目はカサゴと似ているが、イスカサゴの特徴として、胸鰭軟条数が19~20本と多いこと、口蓋に歯があること、口が目の中央下までであること、鋭く尖った背鰭と大きな胸鰭に毒棘を持つことなどが挙げられる。目の上には皮弁がまつげにように並んでいるため化粧をしているようにも見える。
ヒレには毒があるので調理する前にハサミで切り落とすのが一般的。クセのない上品な白身で締まった肉質なので薄造りに合う。また皮下の旨みをいかした霜降り造りもお勧め。いい出汁が取れるので鍋物はしゃぶしゃぶが絶品。煮付けや唐揚げもとても美味しい。油との相性もよいのでムニエルなどの洋食の素材としても利用される。またイズカサゴの胃袋は希少部位ではあるが、プリプリした食感があり美味であると釣り人からは人気が高い。
ヒレの棘に毒があるといわれるが有毒物質を分泌する腺が体内にあるかどうかは分かっていない。イズカサゴの刺毒はタンパク質からできていており不安定であると言われている。そのためもしも毒に侵された場合は、刺された部分を素早く絞り、毒を外に出してから、熱いお湯などにしばらく浸けておくと解毒の効果がある。刺されるとズキズキと長時間痛むが、死に至るほどではない。
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