東京~琉球列島に分布。イシダイ釣りなど磯底物釣りの外道として釣れることがある魚。撒き餌につられて上層まで浮き、フカセ釣りなどに掛かることもある。専門的に狙う人は少ない。岩礁や珊瑚礁域に棲み、強力な歯で甲殻類や貝類を粉々に噛み砕いて食べている。また、同じくエサとするスナギンチャク類に由来する猛毒パリトキシンが肝臓に築されている場合があり、食中毒死の例があるので食べる際は要注意。その他には海藻も好んで食す。最大で80cmまで大きくなる。日中に活動するため、夜間は岩の間などで休んでいる事が多い。夜間休んでいる際は自分が口から出した透明の粘液の中で外敵から身を守って眠る。比較的安価で流通している。
成魚の体は一様に青いものが多いが、雄は胸部や背ビレ、胸ビレが朱色になる。体に赤褐色、白色、黒色の斑点が出ているアオブダイもいる。雌雄に関係なく老成すると前頭葉(額)にコブが突き出す。歯は癒合してくちばし状になっており、噛まれると大怪我をするので注意が必要。沖縄などに生息するイラブチャーとよく似る。見分け方は、下腹部がエメラルドグリーンで尾びれの両側が伸びていればイラブチャーである。
肉は無毒で食べられるがそれほど美味しくない。しかしアオブダイは沖縄では刺身や唐揚げなどの調理法で食べられている。皮をつけたまま食べるとクセがあるため、あんかけやチリソースをかけた料理、揚げ物などの調理法でクセを抑えて食べられることが多い。アオブダイは下処理が難しいので、食べる際はプロの方にお願いするのが良い。
食中毒での死亡例が数件ある。しかしアオブダイの身に毒素があるわけではなく、エサとして食べたもの(スナギンチャク)の影響で肝臓にパリトキシン、テトロドトキシンを蓄えている場合がある。そのため、内臓は食べてはいけない。ほんの稀に身の部分まで毒素が含まれていることもある。パリトキシンという毒は自然界の中で一番強い毒と呼ばれ、フグの毒よりもはるかに毒性が強いといわれている。最大24時間にわたり身体のしびれや麻痺が続き、痛みを伴った筋肉痛や、黒褐色の尿が出るという症状がある。治療法がなく、重症になると呼吸困難や歩行困難を起こし死に至る可能性もあるので非常に注意が必要である。また、パリトキシンは加熱や塩蔵によっては分解されない。
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