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釣魚図鑑

イラ

スズキ目 ベラ科

本州中部以南の沿岸のやや深い岩礁域に棲む。海底にいる小動物を捕食する。船釣りのほかにも、磯釣りや投げ釣りをすると掛かることがある。イラ自体を目的とした漁や釣りはないため、漁獲量は多くない。掴もうとすると噛みついてくる。「いらいらする」ことが和名の由来といわれる。投げ釣りでの記録は全長54.0cm。イラの外見がアマダイに似ることから「イソアマダイ」と呼ばれることもある。安価で取引され産地では総菜魚となっている。性転換をおこなう魚で、産卵するまではすべて雌として生息する。産卵期は水温に影響されるが基本的には6月ころから夏にかけてである。

形態

体は平たく体高が高い。体色は橙~赤色で体側中央に傷のように見える幅広い暗色斜走帯がある。体側後方には青色の小斑が散らばる。成長したイラの雄は前頭部が張り出し、頭部の輪郭が四角くなっていく。また、牙にような歯を持つ魚で、歯と歯の間に隙間があることも特徴の一つ。外見はアマダイに似ているが、アマダイよりも鱗が大きい。体の後半部分にある鱗には鮮やかな青色のものが存在する。イラの雄と雌では体色の差が大きい。雄として成熟するにつれて額が前に張り出すようになるので額部分が出っ張り角張ったものは雄である。全長は45cm前後。

食味

血合いがなく、クセや臭みもない淡白な白身魚である。少し水っぽく、脂やうま味が少ないが食味は悪くない。鮮度のいい大型のものは刺身で食される。皮はひかずに焼き霜にしたほうが良い。昆布締めにするとうま味をプラスできるのでお勧め。加熱処理をすると身が程よく引き締まるので塩焼きにしても美味である。甘みが少ないため若干の物足りなさは感じるが、身もほぐれやすいので食感は良い。イラのアラはクセがまったくないのでいい出汁が出る。汁物や鍋物に向いている。味に個性が少ないので、いろいろな料理で楽しむ事ができる。また、すり身にしてかさ増ししても風味を損なわない。

釣種

釣り船,磯,投げ,ボート

釣場

沖合,内湾,岩礁

生息域

南日本,日本海,瀬戸内海,東シナ海 ,琉球列島