下北半島・佐渡以南の各地に分布しているが、沖縄県にはいない。全長1mに達する大型のベラで、沿岸の岩礁域に棲み、強力な顎で甲殻類、貝類などの硬いエサを好んで食べている。喉にも歯を持つので甲殻類なども殻ごと捕食する。昼行性なので夜にはほとんど活動せず岩陰に潜んでいる。体長50㎝くらいまでの幼魚・若魚にはトレードマークのコブはない。主に磯底物釣りの外道となる魚だが、小磯、防波堤周りにも居着き、小物釣りの竿に掛かって釣り人を驚かせることがある。食味が良いので寒い時期に「カンダイ(寒鯛)」という呼び名もある。寿命は7年程と言われているが詳しい生態については不明。市場に出回る機会は少なく、関東地方では評価が低い魚であるが、旬の時期のコブダイは美味しいと言われる。
体色は赤~赤褐色で、幼魚の間は体側中央を走る淡色縦帯があるが、成長とともに消失し体色と同色に変化する。成長した雄は前頭部がコブ状に突き出す。また、下アゴが突き出しており受け口になっていて唇は厚い。オスは大きいもので体長1m、体重15kgを超えるのもの存在し、ベラの仲間では最大級の大きさを誇る魚である。メスはオスの半分ほどの体長までにしか成長せずアゴの突き出し方もオスほど顕著ではない。また、メスにはコブもないが、体長が60cm以下のものはメスでそれ以上に成長するとオスへと変化する。口内には大きな歯を持ち、咽頭部にも鋭い歯を持っている。アゴの力も著しく強い。
旬のものは脂ののりが良いが、大きくなればなるほど食味も大味になるので体長50cm程個体が好んで食される。もっちりとした食感の白身だがやや身が柔らかい。コブダイは塩焼きやフライ、煮付けなど様々な調理法で料理される。寒期は脂ののりが良くなる時期なので刺身で食するのはこの時期のものがおすすめ。コブの中には脂がたっぷりと含まれているので、カマをまるごと利用して鍋物や煮付けにするのもコブダイならではの食味を感じられる。その他は、コブダイのしゃぶしゃぶも美味で、半生状態の身はぷりぷりとした食感が楽しめる。夏場に水揚げされたものは磯臭さが残る個体もある。
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