南日本太平洋岸、琉球列島に分布。深海性で水深100~700mに生息する。筋肉中にワックスを含み、食べすぎると下痢をするので要注意。これは水中で浮き袋の代わりに浮力を得るために筋肉に多量のワックス(脂肪)を含んでいると考えられている。浮き袋を持たない利点は色々あり、一つは水中での圧力の変化に耐えられることである。深海でも水面直下でも姿勢を変えずに遊泳することが可能となる。食用としては価値がないが、強い引きを楽しめることからゲームフィッシュとして釣り人には人気が高い。「インガンダルマ」「ダルマ」と呼ぶ地方もある。日本では流通は禁止されているが食べる行為自体は禁止されていない。しかしかなりの確率で食中毒を引き起こすので、自己責任で食すようにする。
体はやや平たく細長い。見た目はアブラソコムツに似るが、バラムツは側線は不明瞭で波打たず、尾柄に隆起線がないのでこの点で見分ける。大変似ているので、ある地域などではこの2種を混同して「アブラボウ」と呼ぶこともある。体色は黒っぽい暗色で、眼は大きくギラついている。口も大きく、唇は厚い。この口内には鋭い歯が並んでいる。体表の鱗には骨性の棘があるので素手で触るのは危険。この棘を薔薇の棘に見立てて「バラムツ」という名前がついたと言われている。体長は大きいもので2mを超える大型の魚。一般的な大きさのものでも1mを超えるものがほとんど。筋肉に多量のワックスを含んでいるので、これが浮力につながり浮き袋を持たない。
ふつう食用としない。
筋肉中に多量のワックスを含む。ワックスとは筋肉に含まれる脂のことだが、他の魚に含まれるようなものとは成分が全く違う。ワックスは人間では消化できない成分であるので食べると腹痛、下痢やお尻から脂が流れ出すという皮脂漏症を起こす。これは便意とは関係なくそのまま漏れ出してしまう恐ろしい現象である。動物実験では一週間で命を落としたという例も過去にあるの注意が必要である。そのため日本では1970年から食品衛生法で市場への流通を行うことを禁止している。しかしタイやアメリカなど海外ではごく普通に販売されていることがあったり、飲食店で提供されることがあるので十分に注意が必要である。
釣り船
深海
南日本,東シナ海 ,琉球列島