サワラは魚偏に春と書くように瀬戸内では春を告げる魚のひとつで、成長するにつれて呼び名が変わる出世魚でもある。関西では50㎝以下のものはサゴシ、60~70㎝はヤナギ、80㎝を超えるとサワラと呼ぶ。以前は西日本が主な生息域で、東日本ではあまり見られないとされていたが、現在では北海道の南部から九州まで広く分布するようになった。これは温暖化によって海水温が上昇したからではないかと考えられている。春~秋は内湾の表層を泳ぎ回り、冬になると温かい外海に移動する。餌は小型の魚類や甲殻類など。オスよりもメスの方が大きく成長し、寿命もオスが約6年なのに対しメスが約8年と長い。
大きさはだいたい1mで、細長く扁平な体形。名前の由来は「狭(さ)腹(はら)」で、スマートな姿からその名が付けられたと考えられている。本種は出世魚で、「サワラ」と呼ばれるのは80cmを超えてからであるが、この大きさになるのは孵化から3年経った頃である。体色は背がグレーがかった青で、腹は銀白色。口には鋭い歯がある。歯は仔魚の時期から生えており、仔魚は自分と同じサイズの他の魚も食べてしまう。成長は温かい時期に著しく、寒くなると停滞する。サワラ属の魚は日本近海に本種を含めて5種類いるが、体に7~8列の黒い斑点が並んでいる点、第一背鰭に20個前後の棘がある点が他の4魚種と異なる。
名前の漢字から旬は春だと思われがちだが、地域によって旬が異なる。西日本は春、東日本は秋以降が旬。魚を選ぶ際は体表を見るとよい。新鮮なものは体につやがあって光をよく反射し、斑紋がくっきり見える。サワラは身が柔らかいため、捌く際には注意が必要である。また、新鮮なサワラは身が透明だが、すぐに傷んで白濁してしまう。新鮮なサワラはスーパーや料理店にはほとんど出回らないので、釣りで鮮度の良いサワラを手に入れたら刺身にするのがおすすめ。代表的なサワラ料理は身の新鮮さに関係なくおいしく食べられる西行焼きである。その他、照り焼きや魚ちり、ムニエルやフライにしてもよい。
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