ゴマサバは、マサバより暖かい海を好むので、かつて日本海側では若狭湾以南、太平洋岸では房総半島以南に分布していたが、水温の上昇やマサバの減少もあってか、最近では北海道の南部でも見られるようになった。春はエサを摂りながら北上し、冬は産卵のために南下する季節回遊魚である。「ゴマサバ」という呼び名は和歌山で使われており、体型が丸いこともあり全国的には「マルサバ」と呼ばれることもある。他にも「コモンサバ」「ホシサバ」「ホシグロ」など様々な名称をもつ魚。小魚やイカなどを主に捕食する肉食性の魚で、寿命は6年程と、サバの中なではかなり短命である。
マルサバとも呼ばれるようにマサバより体高が低く、断面は円形に近いほど丸みを帯びている。ゴマサバの成魚は体の中央付近から腹にかけて、ゴマの形の斑点があるので、「ゴマサバ」という呼び名がつけられた。この斑点があるかないかでマサバと区別できる。また背ビレの棘の数にも違いがあり、マサバは9本で、ゴマサバは10~11本ほどあって多い。斑点の色は背ビレや尾ビレよりも淡い灰色である。ゴマサバの尾ビレは二叉に分かれている。マサバは第一背ビレと第一背ビレと第二背ビレの間隔が同じだが、ゴマサバは第一背ビレの長さよりも第一背ビレと第二背ビレの間隔が広くなっている。吻(ふん)は前方に尖っている。
マサバは夏に味が落ちるといわれるが、ゴマサバは通年ほぼ味は変わらないので、マサバに代わって夏場に珍重されている。マサバよりも脂ののりが少ない。高知県の土佐清水沖で取れるブランド魚の清水サバは、ゴマサバである。食べ方はマサバと変わらない。ゴマサバ本来の味を楽しむには塩焼きがお勧めで、塩焼きとして調理する際は、ゴマサバがもつ臭みを消すために焼く前に少量のお酒をふりかけるのがポイント。皮目はパリッと焼き上げ、身の部分は蒸し焼きでじっくりと仕上げると、非常に美味である。他にも、シメサバ、味噌煮などの調理法もお勧め。
鮮度が落ちると「ヒスタミン中毒」が起きるのは、マサバと同じである。ヒスタミン中毒が起こると、皮膚に湿疹がでてきて痒みを発する。悪化すると下痢や嘔吐、発熱や腹痛を引き起こす場合がある。マサバほど多くないといわれているが、アニサキスの寄生も確認されている。アニサキスは基本的に内蔵に繁殖するが鮮度が落ちると身の部分へと移動してくるので、万が一アニサキスを食してしまうとアニサキス中毒になり、激しい腹痛に襲われる。最悪の場合、アニサキスに胃を食いちぎられてしまいアナフィラキシーショックを症状を引き起こす。食べる際は生食を避けるなど注意が必要。
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