秋田県、千葉県以南に分布。本州沿岸で最も見られるスズメダイ。温帯の海域を好んで生息しているが、小笠原諸島や沖縄では見られない。岩礁域の中~下層に群生し、動物性プランクトンを主食としている。磯の上物釣り、防波堤釣りではおなじみのエサ取りだが外道扱い。産卵期は夏で、オスがきれいに環境を整えた岩場にメスが卵を産み付ける。またその卵をオスが守る。例えダイバーであっても、近づいてくるものには攻撃的になる。北日本では食用魚としての認識がないが、食味は良い。関西地方や九州などでは市場で流通することもしばしば。地域によって様々な呼び名があり「ネコノヘド」「カジキリ」「ヤハチ」「ツバクロ」「アブラウオ」などが一例である。
体は平たく、体高は高い。体型は卵型で側扁しているのでタイの形に似ている。「スズメダイ」という名前もこの特徴からきている。体色は暗褐色であるが、かなり黒っぽいものも存在し、個体によって異なる事が多い。成長するにつれての体色の変化はない。胸ビレ基底に黒斑が、尾柄の背部に白色斑がある。だが、この斑紋はスズメダイが死んでしまうと消える。体長は12cm~15cmほどであるのが一般的。体長の割には大きく厚い鱗をもつ。尾ビレは二叉切れ込んでいる。
小型だがよく脂がのり非常に美味しい。煮付け、塩焼き、唐揚げが定番。福岡の名産「あぶってかも」は本種を丸ごと干して焼いたもので骨ごと食べる。瀬戸内地方では煮汁をつけ汁にする素麺料理もある。旬は春~夏までの間で、その時期は脂ののりが特によく美味しい。旬から外れると磯臭いと感じる個体もでてくるので、刺身などで食べるのは旬のものが好ましい。しかし、スズメダイには小骨が多く、喉に詰まる可能性もあるので要注意。逆にその骨を利用した「セゴシ」という料理も好まれる。これは内蔵を取り除いたスズメダイを骨がついたまま輪切りにし、刺身として食すものである。
釣り船,磯,防波堤
内湾,岩礁,防波堤
南日本,北日本,日本海,瀬戸内海,東シナ海 ,琉球列島