九州以北の北日本、北太平洋に分布。水深400~600mの岩礁域に棲むが産卵期には水深20~200mのところに回遊し、その時期がオオクチイシナギの釣りのシーズンになっている。全長は最大で2m・体重は100kgに達する大型魚で、その身は味もよいが、肝臓には大量のビタミンAが含まれているので、食べすぎてしまうとビタミンA過剰症になる。イシナギ類は2種いるが、口が大きい方とのことで「オオクチイシナギ」という名前がつけられた。一般的に「イシナギ」と称されるものはオオクチイシナギのことを差す。市場に出回ることはほとんどないが、値段は高価であるというわけではない。旬は春から秋にかけてで、産卵期には大型のものがまとまって揚がる。頭足類や甲殻類を捕食する肉食性で、イカが好物であることも釣り人の中では有名である。
幼魚や若魚は体側に5本の白色縦帯があるが成長とともに薄くなり、老成魚の体色は一様な黒褐色となる。オオクチイシナギは成魚になると鱗が固くなり、埋没する。鱗を落とす処理をする際は、包丁ですき引きする方法が一番容易である。口が大きく上顎の後方部は目の下まである。下顎がやや前方に突出しているため受け口になっている。イシナギ類は2種存在し、その名称はオオクチイシナギとコクチイシナギとされている。外見に違いはほとんどなく、口の大きさが大きいか小さいかで区別する。
白身で脂が多いが大型魚はやや大味。若魚と成魚とでは食味にかなりの差が出る。3kgまでの中型の方が味がよいとされる。大型のものは身もかたくなるので魚というよりは鶏肉と似たような食感になる。刺身、塩焼き、バター焼き、煮付けほかさまざまに料理できる。皮は厚みがあり、身には透明感がある。鮮度の落ちが早いという難点があるので早めに食すのが好ましい。身は水分が多めなので揚げ物として食すのがお勧め。煮ると適度に身がしまり、型くずれしにくいので煮付けにしても良い。煮付けにする際は、事前に鱗とヌメリをしっかりと落としておくのがポイント。
肝臓は大量のビタミンAが含み、食べすぎてしまうとビタミンA過剰症になることから食品衛生法で食用禁止となっている。ビタミンA過剰症になると、頭痛・吐き気・睡眠障害・食欲不振・皮膚の隔離等の症状を引き起こす。症状は食後30分~12時間ほどで発症する。回復には一ヶ月ほど要することもある。もしも症状が現れた場合は直ちに医療機関を受診すること。それに加え、オオクチイシナギは、脂分が多く中毒を起こす可能性があるとされているので、注意が必要である。反対に、ビタミンAが欠乏すると夜盲症になるという危険性がある。過剰摂取も危険な行為ではあるが、欠乏するのも危険であるので、ビタミンAは適度に取ることを心がけることが大切である。
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