全世界の亜熱帯の海域から温帯の海域まで広く分布している。日本近海では東北以南で見られ、夏になると北海道南部まで北上してくる。ヒラマサは沖合や沿岸の低層~中層あたりを小さな群れで回遊している。泳ぐスピードは時速50km以上といわれるほど速く泳ぐことができ、イワシやアジなどの小魚や頭足類、甲殻類などを素早い速さで追いかけ捕食する。日本近海での産卵期は4月~8月で、約200万粒の浮遊卵を産む。稚魚は流れ藻に着くわけではなく、沖合で生活をする。ヒラマサは成長のスピードも早く、1年で体長約40cm、4年で体長90cmにまで成長する。寿命は最長で12年といわれている。引きの強さや味の良さから釣り人に人気の魚である。磯からのカゴ釣りや船からの泳がせ釣り、ジギングなど釣り方も多彩。関東地方で特に人気が高い。
アジ科の中で一番大きく成長する魚で、成魚は体長1mまで成長し、大きいものだと体長2mにまで達する個体もいる。ブリの仲間の中では最も体が扁平しており、ここからヒラマサ(平政)という呼び名がついたといわれている。体色は背側が青緑色で、腹側は銀白色であり、体のほぼ中央に鮮やかな黄色の太い縦縞が1本走っている。体表は細かな鱗に覆われており、側線の鱗の数は200枚ほどある。稚魚のときには体側に6本~10本の横縞が見られるが、成魚になるとその縦縞は消える。ブリと非常によく似ているので見分けにくいが、胸ビレが腹ビレより短ければヒラマサ、ほぼ同じならブリと見分けることができる。また、上あご後端の上角が丸ければヒラマサ、角ばればブリである。
ブリ御三家(ブリ・ヒラマサ・カンパチ)の中で最も脂肪分が少なく、さっぱりとしている。身は淡紅色で、刺身や寿司だねに向いている。釣り上げられてすぐの個体は身の締りも良いためコリコリとした食感で歯ごたえも良い。成熟させたものはねっとりとした旨味を楽しめる。どちらも絶品である。その他にもブリと同様に、塩焼きや照り焼きにしても美味しい。また、高速で泳ぎ回るため、脂肪分が少ないためフライやムニエルにも向く。ヒラマサのカマの塩焼きは極上の味である。旬の時期はブリとは逆の夏の産卵期で、この時期のヒラマサは身がふっくらしている。ヒラマサにはタンパク質やカリウム、ビタミンD、Eなども豊富である。
亜熱帯地方、サンゴ礁域にすむ大型の中にシガテラ毒を持つものが報告されており、症状は摂取してから1時間~8時間ほどで、嘔吐や下痢、腹痛、頭痛などの症状が2日以上出ることがある。重症の場合は神経系にも影響し、不整脈、めまい、血圧低下などの症状が数ヶ月続くとされている。特に温度感覚の異常(温かいものを冷たいと感じるなどの)症状が出た場合は、シガテラ毒を疑い、早急に医療機関で診てもらうことが大切。致死率は低いが、回復に非常に時間がかかるため、投薬治療が行われる。シガテラ毒は目に見えず、加熱をしてもなくならないため、症状が出てから気づいたという場合が多い。
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